小学生から硬式球を握る“メリット”とは? 日本一7度の名門が取り組む「一貫指導」
「武蔵府中リトルリーグ」廣岡東陽監督が語る、学童軟式野球と異なる“スピード感”
個々のスキルアップには、段階的な指導と“圧倒的な練習量”が必要になる。2023年の全日本選手権で優勝し、日本代表としてリトルリーグのワールドシリーズに出場した小学生硬式野球チーム「武蔵府中リトルリーグ」(東京・府中市)の廣岡東陽監督が21日、オンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」に出演。これまで7度の全国制覇(選手権、選抜を含む)の実績をもつチームの、子どもたちを成長させる指導の秘訣を明かした。
野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が開催する同イベントに登場した廣岡監督は、まず、意外と知られていない、軟式の学童野球と、硬式のリトルリーグとの違いについて説明した。
リトルリーグは年代別にジュニア(幼稚園年中〜小3夏)、マイナー(小3夏〜小5夏)、メジャー(小5夏〜中1夏)と分かれており、武蔵府中リトルはチーム方針として「低学年からの一貫指導」を掲げている。ジュニアクラスではグラブを使わず、手作りの簡易グラブで基礎的な捕球を行うなど、徐々にレベルを上げ野球を楽しみ、慣れていくことを心掛けている。
また、リトルリーグの特徴は、投手-捕手間が14.02メートル、塁間が18.29メートルと学童野球に比べて短く(学童はそれぞれ16メートル、23メートル)、走者はリードができない。また、投手は変化球の使用が認められているので、打者はより技術が必要になる。小学生から硬式を扱うリトルリーグについて、廣岡監督は「一番の面白さは、学童野球にはないスピード感だと思います」と、技術の早期習得とともに、1点を奪うための“速さ”を身に付けられるのが利点だと語る。
内外野はローテで守り、打撃練習はマシンを使い徹底的に打ち込む
そこで、練習中は常に「全国を意識させる言葉かけ」を意識し、“1にこだわる”ことを重点に置く。試合では先攻を取ることで「先取点を奪えれば精神的にも優位になる。打つ、投げる、走る、全てにおいて相手より一歩先をいく」。子どもたちの実力を発揮させるための環境作りも忘れない。
試合で勝つためには個々のスキルアップも必要になる。廣岡監督は投打ともに「日本一の練習量だと思います」と断言する。内外野はローテーションで守り、打撃もマシンを使い徹底的に打ち込む。
グラウンドや施設の環境は恵まれており「今は時代じゃないのかもしれないが、練習は嘘をつかない。成功体験を増やすことで成長する。そこには正しい技術は必要なので、指導者は学んで選手に還元しないといけません」と、日々の積み重ねを大切にしている。
名門の強さの秘密を問われた廣岡監督は「一番は私がどうじゃない。子どもに熱心なコーチ陣がいるから武蔵府中は結果を残せている」と、周りのコーチたちへ感謝を口にする。ひたむきな指導者の存在こそが、未来ある小学生を大きく育てる。
「日本一の指導者サミット2024」10月25日(金)まで開催中…見逃し配信もあり
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、10月21日から5夜連続でオンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」を開催中。
小学生・中学生の各野球カテゴリーで全国優勝経験がある全11チームの監督を招き、日本一に至るまでの指導方針や独自の練習方法について紹介しています。参加費は無料。見逃し配信もあり。登場チームなどの詳細は以下のページまで。
【日本一の指導者サミット2024・詳細】
https://first-pitch.jp/article/coaching-methods/20241022/8825/
【参加はTURNING POINTの無料登録から】
https://id.creative2.co.jp/entry
(First-Pitch編集部)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
■「First-Pitch」のURLはこちら
https://first-pitch.jp/