小学生に短所指摘は「野球が嫌になる」 76歳監督の信念…守備に自信付く“指示出しノック”

小名浜少年野球教室のノックの様子【写真:編集部】
小名浜少年野球教室のノックの様子【写真:編集部】

「選手を迷わせてはいけない」…指導歴30年、小名浜少年野球教室監督の不変の指導

 全国スポーツ少年団軟式野球交流大会で3度の優勝を誇る、福島・いわき市の小学生軟式野球チーム「小名浜少年野球教室」の小和口有久監督が25日、野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」が実施するオンラインイベント「日本一の指導者サミット2024」に出演。チームの持ち味である打撃力の高め方、ノックでの工夫など、1994年の監督就任以来、30年間情熱を注いできた小学生指導の一端を披露してくれた。

 小和口監督は勿来工から社会人・小名浜クラブに進み遊撃手としてプレー。引退後は社会人・堺化学工業クラブの監督を経て、1994年に小名浜少年野球教室の監督に就任した。これまで、教え子から小松聖(現オリックススカウト)、西巻賢二(DeNA)らプロ野球選手も輩出し、指導歴は30年を迎えた。

 練習では多くの時間を打撃練習に費やす。ドアスイングにならないよう、センター中心の意識を与えバットを内側から出すよう丁寧に指導。「選手を迷わせてはいけない。今は色々な指導法がありますが、基本の部分はいつの時代も大事です」と、平成から令和になっても野球の基礎は変わらないと語る。

「子どもには、それぞれに良いところが必ずある。そこを生かしてやりたい。小学生の段階で短所ばかり見つけてしまうと、野球が嫌になる。中学、高校、大学と野球を続けてほしい。そのスタートでごちゃごちゃ言うことはほとんどない。まずは長所を見つけてあげることが大事ですね」

小名浜少年野球教室の小和口有久監督【写真:編集部】
小名浜少年野球教室の小和口有久監督【写真:編集部】

センターに真っすぐ打つ“ノック打ち”「手首が返ると真っすぐ打ち返せない」

 チームの名物練習は、選手たち自身でセンター方向に真っすぐ打つ“ノック打ち”。右打者の場合は左腰を前にぶつけて、バットをセンター方向に放り投げるようなイメージで打つという。「手首が返ると真っすぐ打ち返すことはできません。引っ張って打つばかりでは癖がついて、粘り強い打撃はできません」と小和口監督は説明する。

 この日、ゲストコメンテーターとして参加した、滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督も「ノックは一定のところでボールは上がらない。前後に上がるボールをセンターに打ち返すのはバットコントロールが必要。対戦経験もありますが、小名浜の打者は緩急にもついてくるし、粘り強い打者ばかりでした」と何度もうなずいていた。

 ノックでは「三塁線、三遊間」など、監督が打球方向を指示してから打つのが特徴的。子どもたちは予測して動けるので、球際にも強くなるという。さらに「捕れる」という成功体験も生まれ、選手たちはのびのびプレーできる。小和口監督も「全国を勝ち抜くためにはバッテリーを含めた守備も大切」と指摘する。

 今後の目標は、“小学生の甲子園”全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントで過去最高成績であるベスト8を越えること。「強いチームには負けられない。子どもたちと一緒に頑張っていきたい」。今年で76歳になるベテラン監督は、これからも子どもたちに情熱を注いでいく。

(First-Pitch編集部)

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