指導者が最も悩む「投げ方」に革命? 小学生の球速増&全員投手を実現する“動作理解”
投球動作が格段にレベルアップ…「バネ投げ」を取り入れた多賀少年野球クラブ
野球を始めたばかりの子どもたちが、指導者から最初に教わるのがキャッチボールだ。全てのプレーに繋がる投球動作を疎かにすると、取り返しのつかないことに――。Full-Countでは少年野球の現場をよく知る専門家に、“投動作”指導の注意点や練習法について取材。投げ方指導に定評のある滋賀・多賀少年野球クラブが取り入れる「バネ投げ」について、辻正人監督に語ってもらった。
全国大会で3度の優勝を誇る多賀少年野球クラブが、取り入れる練習法の1つが「バネ投げ」。これは腱(バネ)を使った投げ方で、肩や肘のストレス負担を軽減し、小さな力で大きなエネルギーを生み出す方法。2023年からベースボールメディカルセンター(BBMC)に指導を依頼し、現在も継続して行っている。
約2年が経過し、指導を受けた小学生は最速が104キロから118キロまで上がった例もあるという。ただし、単にスピードが上がるだけではない。辻監督は「速い球がどういう形で投げているかが大事」とポイントを挙げる。腕の力、筋肉だけで投げる投手でも同じような球速は出るが、イニングを重ねるごとに違いは出てくる。
「特に体力のまだない小学生で如実に違いは出ます。意図的に筋肉を使い腕を振る投げ方では、2、3回で球速も制球もガクッと落ちる。一方でバネ投げは負担が少ないため、ある程度は安定したフォームで投げることが可能です」
全員が投手を経験し試合でも投げられるレベルに成長「1イニングで交代することも」
実際にチーム内でもバネ投げの効果は表れている。多賀少年野球クラブではA、B、Cと実力に応じた3チームで運営しているが、Bチームで投げていた投手が最終的にはAチームに入り、全国大会で登板するほどに成長した。疲労での不調やスランプに陥った場合でも、自らの投げ方を覚えていると一旦、基本に戻ることができるという。
「力任せの投手は不調になっても前進していくしかない。なぜなら、ニュアンスで投げているので自分の投球動作を理解していない。一旦戻って、自分のフォームを作り上げることはできない。スランプ、イップスになりやすい子が多いです」
練習でもほぼ全員が投手を経験し「Aチームでも1イニングで交代することもある」と、試合でも投げられる状態まで成長した。他のチームが悩む、球数制限や複数の投手育成に関しても「投げることに困ったことはない」と口にする。
高いレベルで野球を続けていくためには安定した投球、送球が必要不可欠。「将来を見据えれば、小学生の段階から正しい投げ方を学んでほしい」。学童野球で確かな実績を誇る辻監督は、12月16日から開催される「投球指導week」に出演予定。投げ方に不安を抱える指導者、保護者、子どもたちの悩みを解決してくれるはずだ。
辻正人監督も登場…少年野球の投げ方指導に役立つ練習法を紹介!
Full-Count、First-Pitchと野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」では、12月16日から5夜連続でオンラインイベント「投球指導week」を開催します。球速を上げたい、制球力を磨きたい、正確な送球をしたいなどの悩みを抱える選手・指導者・保護者に向けて、小学生・中学生の各野球カテゴリーで豊富な実績を持つ指導者・トレーナー陣が、練習方法やケア方法をアドバイスしていきます。参加費は無料。出演者などの詳細は以下のページまで。
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(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)
球速を上げたい、打球を遠くに飛ばしたい……。「Full-Count」のきょうだいサイト「First-Pitch」では、野球少年・少女や指導者・保護者の皆さんが知りたい指導方法や、育成現場の“今”を伝えています。野球の楽しさを覚える入り口として、疑問解決への糸口として、役立つ情報を日々発信します。
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