DeNAジュニア監督が指摘する“小学生の課題点” 保護者と食事会も…還元する「プロの熱量」
横浜DeNAベイスターズジュニアが連覇へ…荒波翔監督は動画審査をなくし精鋭16人を選出
しっかりと生の動きを自身の目で確認し、16人の精鋭を選び抜いた。横浜DeNAベイスターズジュニアは、26日から開幕する「NPB12球団ジュニアトーナメント KONAMI CUP 2024 ~第20回記念大会~」(神宮球場、ベルーナドーム)で、史上3チーム目となる連覇を狙う。荒波翔監督に今年の選手選考について、さらに最近の小学生から感じる課題点について聞いた。
昨年まではコロナ禍もありデジタルトライアウト(動画審査)から選考を開始していたが、今年は応募があった約930人の小学生に対し、実技セレクションを実施。荒波監督ら首脳陣が実際に生で見て細かにチェックし、選手を絞り込んでいった。
「映像だと撮影が上手い方がよく見えてしまったりもします。少し大変ではありましたが、1人1人をしっかりと見ることができました。また、直接見られるのも良い経験になりますし、緊張する中で野球をやることも、きっと彼らの人生に役立つと思ったので、動画審査はなくしました」
荒波監督は就任3年目。2019年からは球団が運営するベースボールスクールのコーチを務めており、数多くの子どもたちと接してきた。その中で感じているのは、投げるにしても打つにしても「下半身を使えていない子が多い」という点だ。
「上半身が器用な子はすごく増えています。僕らの頃もよく『下(下半身)を使え』と言われてきましたが、下半身の動きは簡単には身に付きません。毎日家に帰って我慢強く反復練習しないといけないと思っています」
スクールでは、ゴムチューブを引っ張ったり、ティー打撃でオープンスタンスから打たせたりと、下半身を意識させるメニューを多く取り入れているが、NPBジュニアの限られた活動時間では、基礎練習に時間を割く余裕はない。そこで、保護者を交えた食事会を開催し、首脳陣の考えを共有。自宅での「コーチ役」を依頼しているという。
「僕ら首脳陣は、週末の2日間しか選手たちと会えないので、お父さんやお母さんに『僕らはこういう考え方なので、家で見てあげてください』と伝えています。意識を持って1週間やるのと、週末の2日間だけやるのとでは、差が出てきますから。ジュニアの活動の中で、保護者としっかりコミュニケーションを取って、これだけの熱量を持ってやっていると理解してもらうことは、本当に大切なことだと実感しました」
選手の所属チームにプロの指導を還元…締めくくる横浜イヤー
主力を快く送り出してくれている、選手たちの所属チームへの感謝も忘れない。各チームにはジュニアの練習見学か、スタッフによる訪問指導のいずれかを選んでもらい、プロの指導法を還元している。しっかりと関係性を構築し、来年以降も子どもたちがDeNAジュニアに挑戦してもらえるよう、環境を整えている。
今年は、DeNAの1軍と2軍が日本一に輝き、BCリーグでは神奈川フューチャードリームスが優勝。都市対抗は三菱重工East(横浜市)が初優勝し、今秋の神宮大会では横浜高が1997年以来の栄冠に輝いた。DeNAジュニアが連覇で“横浜イヤー”の大トリを飾り、地域球界のさらなる活性化に繋げたいところだ。
「もちろん横浜一色で占めたいという気持ちは、僕も含め全員が持っています。まずは入りの1戦目をしっかりと丁寧に戦い、奢ることなく1戦1戦を勝ち進み、結果的に優勝がついてくればいいと思っています」
今年のチームスローガンは「Be The Best~未来への挑戦~」。11月には侍ジャパンU-12代表との強化試合に勝利した実力を遺憾なく発揮し、頂点へ挑む。
(内田勝治 / Katsuharu Uchida)
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