けん制球が「怖い」から「余裕」に変わる 巨人のスペシャリストが伝える“帰塁”のコツ

野球教室を行った巨人・鈴木尚広コーチ【写真:編集部】
野球教室を行った巨人・鈴木尚広コーチ【写真:編集部】

巨人・鈴木尚広2軍外野守備走塁コーチが野球教室で盗塁・帰塁の練習方法を紹介

 少年野球で学年が上がってくると、盗塁やけん制による帰塁の練習も不可欠になる。盗塁はしたいが、けん制球が怖いから思い切りリードができなかったり、帰塁がうまくできずにアウトになってしまい、恐怖心が生まれてしまったりと、消極的になってしまうケースがある。そんな不安を解消できる練習方法を、巨人の鈴木尚広2軍外野守備走塁コーチ紹介してくれた。

 現役時代、“走塁のスペシャリスト”としてチームの勝利に貢献した鈴木コーチは、12月中旬、広島・呉市で野球教室(主催・宇都宮パック工業株式会社)を開催。学童野球チームの呉昭和クラブの小学生と、岡山ポニーリグロスに所属する中学生が参加した。小学生と中学生。年齢は離れていても同じことを聞いてみたかった。

 それは盗塁のコツと、「怖い」と感じてしまうけん制でアウトにならない方法だ。もちろん、走塁における疑問は多岐に渡るが、これらのポイントは野球少年ならば、誰もが知りたいところ。鈴木コーチは一通り、選手の走塁練習をチェックし、アドバイスを送り始めた。

 まず、チームのコーチを投手と一塁手役に配置。選手たちはいつも通り、一塁けん制からの帰塁を始めるかと思いきや……。鈴木コーチは投手役をマウンドに立たせるのではなく、一塁ベースとマウンドを直線で結んだ上の半分の距離から、けん制球を投げるように指示した。

 投手の手からボールが一塁へ投げられたら、選手たちはヘッドスライディングでベースに帰塁する。緊張感を持ちながら、リードして、姿勢を作って、戻るという一連の作業を繰り返した。タイミングはほとんどアウトだ。

選手たちを見守る鈴木コーチ【写真:編集部】
選手たちを見守る鈴木コーチ【写真:編集部】

大切なのは体を緩ませること「ガチガチからでは動けない」

 数回、体感したところで今度は、元のマウンド位置から投手がけん制をすると、ボールが投げ込まれる距離が延びた分、選手たちが余裕を持って帰塁できるようになった。周りからも「余裕!」「セーフ」という声も飛び交う。リードの時点からリラックスした姿勢でけん制を待ち、余裕を持って帰塁しているように見える。ほとんどの選手が“セーフ”となった。

 これができるようになった後、鈴木コーチは投手の癖の盗み方を伝授。投手役のコーチが1球、けん制を入れただけで鈴木コーチは癖がわかった。それを知らされた選手たちは驚いた様子だった。帰塁と癖の盗み方がわかると、子どもたちは走塁に自信を深めた。

 鈴木コーチは「最初の近い距離から投げられた時は緊張感があった。早くベースに戻らないといけない、と。でも、正規の距離からのけん制になったら、『こんなに投手が遠いのか』という感じで余裕になったし、体に緩みが生まれていた。ガチガチからでは動けないから」と意識をひとつ変えるだけで、走塁力が劇的に変化することを伝えていた。

(First-Pitch編集部)

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