高反発禁止に負けない「真のフルスイング」とは? 高校・大学を見据えた“矛盾練習”

近藤のような“力感ない”フルスイングを覚える方法は【写真:荒川祐史】
近藤のような“力感ない”フルスイングを覚える方法は【写真:荒川祐史】

手本は近藤健介のバッティング…理想のフルスイングを作るのは“軽く振る練習”

 好打者になるためには小手先の技術ではなく、バットを全力で振れることが大切だ。ただし、指導者がよく口にする「フルスイング」は一歩間違うと逆効果になってしまう。打撃修正の専門家として兵庫・加古川市の野球塾「WIN Baseball School」で塾長を務める八代和真さんは、「フルスイング=全力ではない。大事なのは“体”で振ること」と、子どもたちにアドバイスを送る。

 八代さんは報徳学園で夏の甲子園ベスト4入りし、U-18高校日本代表に選出され、関西の名門・立命大で活躍するなどアマチュア野球界のトップレベルを経験。現在は主に小・中学生を対象とした指導者として、「上のレベルでも通用する選手」の育成に力を注いでいる。

 野球を始めたばかりの子どもや小学生ほど、「バットを全力で振れることを身に付けてほしい」と口にする。今年からは安全面の配慮から、打球部に緩衝・反発用のウレタンなどを用いた「複合型バット」のうち、一般用(大人用)が小学生の学童軟式大会で一切の使用が禁止。だからこそ、バットに頼らない体の使い方を習得する必要があるという。

「フルスイングの技術を身に付けるためには“軽く振る”ことです。言葉では矛盾しているように思えますが、軽く振る練習で形を作ることで、腕の力だけに頼らず、体全体を使えるようになり、打球は飛んでいきます。昨年のオールスター戦の本塁打競争で近藤健介選手(ソフトバンク)が見せたスイングが理想です」

野球塾「WIN Baseball School」の八代和真氏【写真:橋本健吾】
野球塾「WIN Baseball School」の八代和真氏【写真:橋本健吾】

 まずは肩幅程度のスタンスで構え、バットは肩に乗せる。スイングの際、バットは肩口から入って体の近くを通し、その後のフォローは一番遠くを通すイメージ。注意点は、手首でこねないようボトムハンド(前の手、グリップの下側にくる手)の甲は常に上向きで、片手フォローにすること。打ち終わりに両肩の位置が入れ替わり、飛行機のような体勢になるのが理想的だという。

 最初はノックバットなど軽いバットを使い、短く持ってもOK。慣れてきた段階でバットを長く持ち、徐々に強度を上げて振っていくことを勧めている。「小手先だけの動きはエラー動作が起きやすい。上のカテゴリーでも通用するために、体全体を使うスイングを学んでほしい」と八代さん。打球を飛ばすために、力任せでないフルスイングを習得したい。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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