女子野球で“連日完売”…激ウマ菓子のラベルが「愛らしい」 二刀流芸人と巻き起こす旋風

どうすれば女子野球は盛り上がる? 長野・松本市のワッフル&イラスト芸人のコラボが話題
近年、競技人口が増加傾向にある女子野球を地域活性化に活かそうと、長野県松本市が積極的に動いている。2021年に全日本女子野球連盟の推進事業「女子野球タウン」として認定を受けると、2023年からは全国大会「松本ローズカップ」を開催。昨年9月に行われた第2回では、大会を盛り上げるために生まれたアイデアが話題になった。期間中に販売され大好評だったワッフルのラベルは、地元出身のお笑いと画家の“二刀流”芸人がデザインしたもの。それらはどのように実現したのか、舞台裏に迫った。
松本ローズカップは、高校女子硬式野球7地域リーグの頂点を決める全国大会として、2023年から開催。昨年も会場となった「信州グリーンローズスタジアム四賀」では連日熱戦が繰り広げられたが、試合に負けじと注目を集めたのが、期間中に販売された「会球(あいたま)ワッフル」だった。
このワッフルは球場に程近い場所にある会田養鶏の、爽やかな空気の中でのびのびと飼育された鶏の卵を使ったのが特徴。たっぷりの生ホイップクリームに、カスタードや小倉あんなどの5種類が楽しめ、1日100個限定にもかかわらず、連日即完売の人気ぶりだった。
味はもちろんのこと、話題性にひと役買ったのが、地元松本市出身のイラスト芸人・ヤボンスキーこばやし画伯の描いたイラストを使ったラベルの力だ。女子高校野球ユニホームを着た動物たちがとにかく愛らしいのだ。
「愛だ、野球だ、ワッフルだ。」のキャッチフレーズどおり、女子野球を心から応援する松本市民によるアイデアと熱意、そして郷土愛がぎっしり詰まったコラボワッフルは、渾身の連係プレーによる賜物だった。

女子野球ならではの面白さ、巧みさや強さ…松本の特産品とともに発信する魅力
「高校時代、軟式野球で全国大会への出場経験もあり、幼い頃から野球が好き。女子野球にはなじみがなかったんですが、イチローさんのチーム『KOBE CHIBEN』と女子野球代表の対戦を見て、彼女たちの真剣勝負に対する姿と、小技を駆使したスモールベースボールに魅了されました」
そう語るのは、このイラストを手掛けたヤポンスキーこばやし画伯。「以前から自分のブログに、長野県の甲子園代表や、ソフトボール女子代表などのイラストをアップしていたところ、それが縁で2020年夏の長野大会中信地区予選のポスターを描くことに。松本ローズカップの大会関係者にも顔なじみの方が多かったので、お声をかけていただきました」と、制作に関わることになった経緯を教えてくれた。
パッケージの描き下ろしイラストは、「2日で描き上げた」というが、それぞれの地域をイメージさせる犬や猫、たぬきなどの愛らしい動物たちが、出場チームのユニホームを着用。「人生バラ色 単色だったら、きっと味気ないよ。……」という自作の詩と一緒に丁寧に描かれている。

「各リーグの代表チームが連想できるように、ユニホームのディテールもしっかり描くようにしました。女子選手の野球に対するスタンスや真剣な表情、そして全力でプレーする姿が一人でも多くの方に伝われば……と。イラストの中心には、普段からブログに書き溜めていた言葉を紡いで、詩を載せています。余談ですが、背景の得点ボードは、野球漫画の名作『タッチ』の明青学園対須見工の、最後の夏の予選決勝戦のスコアからアイデアをいただいています(笑)」
松本市民は、女子野球を愛しています。世界中の誰よりも――。
そんなメッセージが込められているかのような「会球ワッフル」。今後も松本市では、地域の特産品を使った女子野球とのコラボ商品を考案し、認知度向上に向けた普及活動を続けていく予定だという。
ヤポンスキーこばやし画伯は取材の最後を、このように締めくくった。
「どうしても男子野球と比べられがちですが、女子野球には女子野球ならではの面白さ、巧みさや強さがある。多くの方に興味をもってほしいので、これからもその魅力を発信し続けます。松本市にはおいしい特産品もたくさんあるので、ぜひ遊びに来てください」
(吉田三鈴 / Misuzu Yoshida)
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