全国の少年野球チームに広がる「週末1/4練習」 練習時間短縮の発案者が明かした狙い
春日学園少年野球クラブの練習は9年前から週1回4時間が基本
少年野球界に少しずつ広がっている言葉がある。「週末1/4ルール」。土日の練習はどちらか1日、しかも半日だけという内容だ。2013年に発足した茨城・つくば市の春日学園少年野球クラブが掲げ、賛同するチームが全国各地に増えている。週1回、4時間の練習で“腹6分目”で終わらせることが、選手の成長や自主性につながるという。
土日祝日は全て練習で、朝から夕方までが当たり前。練習時間が長い少年野球のイメージが、子どもや保護者に敬遠される理由に挙げられる。この常識に疑問を投げかけたのが、春日学園少年野球クラブの岡本嘉一代表だ。9年前にチームを立ち上げた際、「週末1/4練習」を打ち出した。
「大会がある時は、土日両方野球ということもありますが、土日どちらかの4時間が基本です。長すぎる練習は子どもにとっていいことではありません」
午前中に高学年の練習が終わると、入れ替わりで低学年の練習が始まる。岡本代表が練習時間を短くするのは、明確な狙いがある。
「練習量を腹6分目くらいにして、やる気を起こさせるんです」
周囲から指摘されるように、岡本代表も野球の技術を身に付けるためには「1/4練習」で時間が十分とは思っていない。しかし、まだ筋力や集中力に欠ける成長過程の小学生に長時間練習をさせるのは、怪我のリスクを高める上に、野球を嫌いになる可能性がある。結果的に子どもたちが上手くなる機会を失ったり、競技から離れたりすると考え「あえて『練習が足りない』と選手に感じさせて、自らやるように仕向けています」と意図を明かす。
「選手は自主練習をしています。そのため、試合などは実力主義で競争させています。足りない分は自分でやればいい。考え方は勉強と同じです」
選手が自主的に考えて練習する環境が、チーム内競争や個々のパフォーマンスアップにつながる。保護者の1人は「子どもが『野球しよう』と言ってくるので、一緒にキャッチボールをするようになりました」と笑顔を見せる。また、「1/4練習」は土日に家族で過ごす時間も増える“副産物”も生み出しているという。
春日学園少年野球クラブを参考に、練習時間を短くするチームは全国的にも増えている。「子どもが野球を嫌いになるのが一番駄目ですから」と岡本代表。明確な目的があれば、週末4時間は決して不十分ではない。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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