市販チューブなどで球速アップの事例も…肩関節を“安定させる”トレーニング

肩関節を安定させるための6種類のトレーニングを紹介【写真提供:慶友整形外科病院リハビリテーション科】
肩関節を安定させるための6種類のトレーニングを紹介【写真提供:慶友整形外科病院リハビリテーション科】

投球のための6種類のトレーニング「Ballistic Six」とは

 肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の権威である慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、野球上達への“近道”は「怪我をしないこと」だと語ります。練習での投球数を入力することで肩や肘の故障リスクが自動的に算出されるアプリ「スポメド」を監修するなど、育成年代の障害予防に力を注ぎ続けてきました。

 では、成長期の選手たちが故障をせず、さらに球速や飛距離を上げていくために重要なのは、いったいどのようなことなのでしょうか。この連載では、慶友整形外科病院リハビリテーション科の理学療法士たちが、実際の研究に基づいたデータも交えながら、ケガをしない体作りのコツを紹介していきます。今回の担当は佐久間健太郎さんと貝沼雄太さん。テーマは「プライオメトリックトレーニング」です。

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 肩関節は可動域が広いがゆえに、不安定な関節と言われています。可動域が広いことによって投球をすることもできますが、その負荷は大きく、投球という速い動作に合わせてしっかりと筋肉が働いて、安定性を担保しなければなりません。では、実際に投球の中で肩関節を安定させるため筋肉のトレーニングはあるのでしょうか? また、どのようなトレーニングが有用とされているのでしょうか? 今回はそのトレーニング方法を紹介します。

 プライオメトリックトレーニングである「Ballistic Six」を紹介します(※1)。まず、プライオメトリックトレーニングとは、ウエートトレーニングのような筋肉量を増やすためのものではなく、筋肉が素早い伸長をした後に急激な短縮(ストレッチ-ショートニングサイクル)をするときの爆発的な筋力発揮を利用したトレーニングです。筋肉が伸長から短縮に急激に変化する動作はスポーツの中に多くあります。投球の中では、肩がしなった後に急激にリリースに向かって腕を振る動作が代表例です。

「Ballistic Six」は言葉通り6種類のトレーニングで構成されています。効果については多くの研究結果が報告されていますが、大学野球の選手がこのトレーニングを8週間行い、球速が約3キロ向上したとする研究もあります(※2)。

「Ballistic Six」を実際にやってみる

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