少年野球のカリスマが初めて試合中に泣いたワケ 大人を変えた“子どもの全力プレー”
滋賀・多賀少年野球クラブは正月明けの3連休に東京遠征
子どもの全力は大人を変える力がある。全国制覇3度の実績を誇る学童野球チーム、滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督がチーム方針を大転換した理由を明かす全4回のシリーズ。最終回は子どもの全力プレーが持つ可能性。辻監督は選手たちの姿を見て、新たに打ち出した「令和の根性野球」は間違っていないと確信した。
指導者の指示ではなく、選手が進んで自らを追い込む「令和の根性野球」。辻監督が新たなチーム方針を掲げてから3か月、選手の全力プレーが持つ力は指揮官の想像を超えていた。
年末年始で休めた体が、まだ目覚めていない1月上旬の3連休。多賀少年野球クラブは東京に遠征した。レギュラーのAチームと控えのBチーム、それぞれが1日4試合をこなすハードな日程だった。
1試合目の開始は午前9時半。その2時間前から多賀ナインは練習していた。選手全員が投手と捕手をこなして計4試合を終えると、午後4時を回っていた。だが、まだ長い1日は終わらない。補食でエネルギーを補うと、室内練習場で2時間半マシンを打ち込んだ。使用するバットは甲子園常連の近江高校から譲り受けた高校生用だ。辻監督は「多賀の選手は年末年始に練習しないので、さび落としです」と説明した。
午後9時半頃に就寝すると、翌朝も試合開始2時間前の午前7時半から練習を始めた。選手は筋肉痛で体が思うように動かない。それでも、試合では常に全力を尽くす。一塁でアウトになってもベンチまで全力で戻る。