スマホを取り出す動作にヒント…「しんどい動きこそ重要」 野球上達への“胴体トレ”
手打ちや手投げを修正…股関節や胴体など個々に動かすトレーニング
食事や着替えなど、日常生活では手を中心に動かしている。だが、野球では手投げや手打ちがマイナスな言葉として使われるように、手を主導にする動きは推奨されていない。昨夏に全国制覇を果たした東京・上一色中学などでトレーニングコーチを務めている塩田雅矢さんは、手から動かすクセの脱却が野球の上達につながると説く。
電車で席に座って両隣に乗客がいる時、ズボンの前ポケットに入れたスマホを取り出す動きを思い起こしてほしい。両隣が空席の時と比べて頭や体を傾けられず、スマホを手にするまで苦労するだろう。このしんどい動きにこそ、野球がうまくなるヒントがある。
スマホの操作も食事も、文字を書く時もパソコンを使う時も、日常生活では手を使う時間が圧倒的に長い。しかし、野球では下半身を主導にした動きが最も力を出せる。普段の生活で染みついた動きを解除する必要があるのだ。上一色中など20校以上の中学や高校でトレーニングを指導している塩田さんは言う。
「手、足、頭といった体の端は比較的自由に動かしやすいと思います。ところが、野球では頭を固定して、手より先に下半身や胴体を動かすことが大事です。その方が力をロスせずにバットやボールに伝えられます。しんどい動きこそ重要です」
手を主導に動かす手投げや手打ちは、少年野球や中学野球でも指導者が修正する典型になっている。だが、手打ちになっている選手に「手を動かさないで」と助言しても改善は難しいと指摘する。「自然にやってしまう動きをやらないようにするのは簡単ではないんです」。そこで取り入れているのは、股関節、胴体、肩甲骨など野球の動きで重要になる部位をそれぞれ動かせるようにするトレーニング。ストレスを感じずに手以外の部分を動かせるようになると、手投げや手打ちの修正につながるという。
スマホをポケットから取り出す時に頭を横に倒すと動きやすいように、手を動かす際は頭を傾けるとストレスが少ない。しかし、塩多さんは「野球では頭を固定しないと、体が開くなど力が逃げる原因になってしまいます」と話す。手に頼るクセからの脱却は、パフォーマンスアップに欠かせない。
(First-Pitch編集部)
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