異なるリーグで“春夏連続日本一” 4月にポニー転籍…元プロの監督も驚いた選手の粘り

ポニー全日本選手権で優勝した関メディベースボール学院【写真:片倉尚文】
ポニー全日本選手権で優勝した関メディベースボール学院【写真:片倉尚文】

「関メディベースボール学院」が全日本選手権で佐賀ビクトリーとともに優勝

 日本ポニーベースボール協会が主催する「マルハングループインビテーション 大倉カップ 第49回全日本選手権大会 Supported by エイジェック」の決勝戦が26日に東京・江戸川区球場で行われ、「関メディベースボール学院」(以下、関メディ)と「佐賀ビクトリー」が延長11回5-5で引き分け、両チーム優勝となった。「関メディ」は3月にヤングリーグで日本一になり、4月に転籍したポニーリーグでも全国制覇。かつて近鉄、オリックスでプレーした井戸伸年監督は「こういう環境でやらせていただいて感謝しています」と感慨に浸った。

 猛暑の中で行われた決勝戦は一進一退の攻防。2点リードの「関メディ」は最終回の7回2死から2本の適時打で逆転を食らった。しかし、その裏に追いつくと、延長9、10回にそれぞれ1点ずつ許すも追いつく粘りを見せ、屈することはなかった。選手の健康を考慮して延長11回で打ち切り、3時間46分の激闘は両チーム優勝で終止符が打たれた。

 驚異的な粘りで頂点に立った。「関メディ」は、昨年まで3連覇を果たした江東ライオンズを3回戦で撃破。準々決勝はサヨナラ勝ち、準決勝も2回表までに4点リードを奪われる展開だったが、逆転した。井戸監督は「追いついてという試合がずっと続いた。彼らの力、凄いものを見せてもらいました。すごく成長できた大会かと思います」とうなずいた。

 関メディは3月下旬の「第31回ヤングリーグ春季大会」決勝で優勝した後、ポニーリーグへ。複数のチームが同一大会に出場できたり、再出場できるリエントリー制度があったりするポニーの取り組みに賛同しての転籍だった。今大会には「関メディ」の他に「関メディドリームスポニー」と「関メディベースボール学院Jr.ポニー」と計3チームが出場。多くの選手が全国舞台を経験した。

抽選で大舞台出場ならずも「負けてはいないので」

 侍ジャパンU-15代表に金谷隆乃助内野手、藤田蒼海内野手が選出されるなどタレントが揃うチームの中で大会MVPに輝いたのは、ポニー(U-14)日本代表の左腕、井上友吾投手だ。江東ライオンズ戦では7回途中3失点、決勝戦でも7回途中3失点。170センチ弱の体格から130キロ近い速球を軸に、チェンジアップで相手打者を幻惑した。打撃でも活躍し、7回に同点の左前適時打、延長9回にも同点となる犠飛を打ち上げた。

 チェンジアップは今大会に備えて磨いた。ポイントは手首を立てて投げる意識を持つこと。「引っ掛けてワンバウンドになってしまうことが多かったのですが、今回は良かった。初めてこういう賞を頂けてうれしいです」と振り返った。

 目標とする投手はDeNA今永昇太。指揮官もその投球に目を細めた。「柱として絶対的な信頼がある。球数制限がある中でしっかり投げ切ってくれました。頭脳的で、心強い投手ですね。上のカテゴリーでも活躍してくれると思います」。

 中学硬式野球5団体の王者が集う「1stエイジェックカップ 中学硬式野球グランドチャンピオンシリーズ」(8月28、29日)の出場権は抽選の結果、佐賀ビクトリーが獲得した。それでも指揮官の表情は晴れやかだった。「負けてはいないので。優勝という形で終われて最高です」。いきなりポニーで大きなインパクトを残した「関メディ」。今後の更なる活躍が期待される。

(片倉尚文 / Naofumi Katakura)

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