「怪我を少なくできた」 中高時代の“悔い”を糧に…巨人U15初代監督託された元盗塁王
巨人U15の片岡保幸監督が明かす…怪我の予防に重点置いた指導方針
現役時代の成功も失敗も、次世代を担う選手の指導に生かす。来年新設される中学硬式野球チーム「ジャイアンツU15ジュニアユース」の監督を務める片岡保幸氏は、中学生世代に必要な要素に怪我を予防する意識とキャッチボールを中心にした体の使い方を挙げる。キャッチボールが上手い選手は走塁や打撃の技術も伸びるという。
西武と巨人で13年間プレーした片岡氏は、西武時代に4年連続で盗塁王を手にした。2009年のワールド・ベースボール・クラシックでも大会最多タイの4盗塁を決め、日本代表の連覇に貢献した。2017年シーズンを最後に現役を退いてからは、巨人の2軍内野守備走塁コーチや3軍野手総合コーチを歴任。次に託された役割は、来年新設されるジャイアンツU15ジュニアユースの監督だった。
片岡氏は現役時代に野球教室などで小・中学生を指導する機会はあったが、本格的に中学生を指導するのは初めてとなる。成長期の選手たちを指導する上で、2つ重点を置くという。1つは、怪我の予防。その理由を説明する。
「自分自身は怪我が多かったので、選手に怪我をしてほしくない思いが強いです。野球をやりたいのに、怪我の間はバットやボールに触ることすらできず憂うつでした。後から振り返れば大事な時間なのかもしれませんが、怪我をしないに越したことはないと思っています」
片岡氏は野球の技術以上に、中学生年代は高校以降に成長するための体の使い方や怪我を予防する意識が大事だと訴える。膝や腰など度重なる怪我に悩まされた経験から「中学、高校の頃に体のコアを意識したメニューを取り入れたり、トレーニングコーチがいたりすれば、もっと怪我を少なくできたかもしれないと感じています」と話す。
キャッチボールが上手い選手は「ベースランニングも上手い」
怪我をしてからは練習や試合前に体幹トレーニングやストレッチ、ウエートなどを取り入れていたが、一度怪我をすると再発したり、故障箇所をかばって他の部位を怪我したりするリスクが高まる。「中学生の時から怪我の予防は絶対にすべきだと考えています」。自身が指揮するジュニアユースではトレーニングコーチを配置するという。
もう1つ、重点を置くのはキャッチボール。片岡氏はキャッチボールには走攻守、野球の全ての要素が詰まっていると考えている。
「キャッチボールが上手い選手は、ベースランニングも上手い傾向があります。投げる、打つ、捕る、走るという野球の動作は片足でバランスを取ることが重要です。キャッチボールで片足になる時の動きが正確にできると、ベースランニングで体を傾ける形や打撃の体重移動などにも生きてきます」
体の大きさや足の速さに関係なく、片足で立つ動きに代表される体の使い方を正しく身に付ければ、パフォーマンスは格段に上がるという。片岡氏は運動能力が伸びる中学生の時期に土台をつくり、筋力を強化する高校生以降のステージにつなげるイメージを描いている。
(間淳 / Jun Aida)
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