「無意識が究極」 ミスを撲滅…中学日本一が実践する“最長8分”の守備メニュー
今春に初の全国制覇…東海中央ボーイズはキャッチボールに重点を置く
基本の徹底が日本一へとつながった。今春に全国制覇を果たした愛知県の中学硬式野球チーム「東海中央ボーイズ」は基本を身に付けるため、攻守で反復練習に重点を置いている。キャッチボールでは無意識に体が動くまで繰り返すメニューもある。
チーム発足から11年目の今年3月、東海中央ボーイズは第53回日本少年野球春季全国大会で初優勝を飾った。日本一の要因となったのが基本に忠実な動きとミスの少なさ。チームを率いる竹脇賢二監督は、反復練習が実を結んだと考えている。
「この数年間、安定した結果を残したり、選手層が厚いと言われたりするのは基本ができているからだと思います。基本を徹底して個の能力を伸ばすことに重点を置いて練習しています」
竹脇監督はキャッチボールで、捕球したらすぐに相手へ送球する「速投」を取り入れている。このメニュー自体は珍しくないが、他のチームとの違いは時間。1分刻みで時間を伸ばし、5分間休みなく続ける。最長は8分で「意識が飛ぶレベルです」と指揮官は笑う。
「暴投が失点に絡むケースが多いので、送球の精度を高めています。30秒、1分の速投は暴投が出やすいのですが、3分、4分と時間が長くなると体の力が抜けてミスが減ります。無意識に体が動くようになることが究極だと思っています」
内野ノックは4か所…ごまかし利かない“手ゴロ”も重要
試合では瞬時の判断が求められる。ギリギリのタイミングでアウトを取るには、考えるより先に体が動く守備力が重要になると竹脇監督は考えている。今春の全国大会予選でチームが無失点で優勝したのは決して偶然ではない。
内野手のノックにも時間を割く。グラウンド内にダイヤモンドをつくり、選手は4か所をローテーションする。ダイヤモンドはそれぞれ、一塁送球、走者一塁からの併殺、三塁送球、バックホームとテーマが設けられている。少人数のグループに分けることで、各選手がタイプの違うノッカーから色々な打球を数多く受ける狙いがある。
そして、ノックでは見えにくい課題を改善するメニューが、手で転がしたゴロを捕球する練習。緩いゴロを捕球するには、ゴロへの入り方、球の握り替え、送球する時の足の運びなど1つ1つの動きにごまかしが利かないという。ノックの打球を受ける時より低い姿勢を保つ必要もある。竹脇監督は「ノックは一連の流れでプレーするので、上手くできているように見えます。プレーの確実性を上げるには基本の反復が大事になると考えています」と話す。
打撃練習は3か所に分けて、選手たちはローテーションでメニューをこなす。1つ目のティー打撃は様々なバットを使ってスイングを矯正する。2つ目のロングティーで体の使い方を習得。3つ目は近距離から打撃投手の球を打つ。ワンバウンド以外はスイングしてバットコントロールを向上させる。
各メニュー1時間で計3時間。ミート率の上がる無駄の少ない構え方を意識しながらバットを振り続ける反復練習で、打撃力を強化している。指揮官は日本一を成し遂げるために特別な練習をしているわけではない。打った本数、振った本数が勝敗の差に表れる。
(間淳 / Jun Aida)
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