少年野球に「待て」のサインは必要か 日本一監督の“ネガティブにならない”共通認識

多賀少年野球クラブ・辻正人監督(左)と東海中央ボーイズ・竹脇賢二監督【写真:伊藤賢汰】
多賀少年野球クラブ・辻正人監督(左)と東海中央ボーイズ・竹脇賢二監督【写真:伊藤賢汰】

少年野球の名将が「主体性」をテーマに討論…“待て”は2種類、状況で正解変わる

 小・中学生に「待て」のサインは必要なのか。小学生軟式と中学生硬式で全国制覇を成し遂げた2人の監督は、「待て」が持つ“意味”に重点を置く。消極的と積極的、2つのタイプがあるという。

 野球育成技術向上プログラム「TURNING POINT」のオンラインイベント「主体性が育つ組織づくり」が2月29日に開催された。出演したのは、ともに全国制覇の経験がある滋賀・多賀少年野球クラブの辻正人監督と、愛知・東海中央ボーイズの竹脇賢二監督。さらに、高校野球の指導歴を持つ日本工業大学の松井克典准教授も参加した。

 3人は選手の主体性を伸ばす指導法や練習法について、自身の体験を交えて語った。イベントを視聴する少年野球の指導者や保護者らの質問にも回答。その1つに、「小学生に『待て』のサインは必要か」を問う内容があった。

 小学部・東海中央ジュニアの総監督も務める竹脇監督は、走攻守において「攻めて、攻めて、攻めまくる」チーム方針を掲げている。攻撃では1イニング3球で終わっても構わないと選手に伝えているという。その理由を説明する。

「野球は打率3割で成功、7割失敗するスポーツです。その中で消極的にいってストライクを取られると、データ上も結果が出にくくなります。結果が出ないと楽しくありません。失敗が多いスポーツなので、選手には少しでも成功する確率が高い方法を選んで、楽しんでほしい。それが主体性にもつながると思っています」

 竹脇監督はカウント「3ボール・ノーストライク」の状況でも、甘い球は狙わせる。ただ、待てのサインを出すケースもある。チームスポーツである以上、勝つ確率を高くするために1球待つ作戦が有効になる場面もある。是か非かの二者択一ではなく、「状況に応じて待つことも、待たずに打つことも、どちらも正解になります。選手の将来を考えた時、待てありきの戦術は、あまり良いことはないと思っています」と語った。

野球は投手と打者の戦いだけではなく、守備と走塁の戦いもある

 辻監督も、待てのサインを否定しない。重要なポイントに挙げるのは、選手と指導者の共通認識。両者が同じ思いで1球待つのであれば、意味を成すと考えている。

 例えば、全くデータのない相手と対戦する時、先頭打者は投手に1球でも多く投げさせることで、チームにとって貴重な情報を得られる。高い確率で盗塁を成功できる走者がスタートを切る時、待てのサインは決して消極的な戦術とはならない。

 辻監督は「保護者から見ると、ただ待つだけの行為に見えるかもしれませんが、子どもと指導者の間では1球待つことに意味があります。待てのサイン自体が良い・悪いではありません。積極的に待つ意味もあります」と話した。

 松井准教授も積極的と消極的、2つのタイプの待てがあると説明した。初球から打っていく姿勢は打者の心構えに大切とした上で、「盗塁をアシストして味方を生かしたり、相手守備のシフトを把握したりする目的で打者に待たせるのは、“積極的な待て”になります。野球は投手と打者の戦いだけではなく、守備と走塁の戦いもあります」と補足した。

 賛否両論がある少年野球における待てのサイン。どちらか1つが正解とは限らない。

(間淳 / Jun Aida)

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