中学の強豪「リトル高校野球が多い」 “脱・訓練式”へ…3年間で増やす引き出し

東京・北区の少年軟式チーム「BLOSSOM BASEBALL CLUB」【写真:チーム提供】
東京・北区の少年軟式チーム「BLOSSOM BASEBALL CLUB」【写真:チーム提供】

小学生チーム立ち上げから4年…中学部「BLOSSOM BASEBALL CLUB ATHELETE」創設

 小・中・高校とカテゴリーが変われば、指導の目的も変わる。東京・北区で活動する少年野球チーム「BLOSSOM BASEBALL CLUB」(ブロッサムベースボールクラブ)が中学部の「BLOSSOM BASEBALL CLUB ATHELETE」を立ち上げた。中学生は「技術やコツを教える時期」と位置付け、選手の自主性を伸ばして「個のスキルナンバーワン」を目指している。

 4月に始動する「BLOSSOM BASEBALL CLUB ATHELETE」は、“野球を一生好きにさせる”ことをテーマに指導する小学生対象の「BLOSSOM BASEBALL CLUB」から、ステージが一段階上がる。チームを指揮する石井翔平監督は、中学生の3年間は個人のスキルアップが大切な時期と捉えている。

「中学で強いチームに共通しているのは、丸一日練習して、そのうちの大半をシートノックやボール回しといった守備に費やしていること。チームでミスをしない訓練をしている印象です。個人的には、そうした練習や考え方は、高校で必ず通ると思っています。私たちのチームでは、中学生に技術やコツ、個人としてうまくなるヒントを伝えていくつもりです」

 石井監督は、中学生の強豪チームは「リトル高校野球が多い」と表現する。監督が目指す野球を選手が表現してトーナメントを勝ち上がるイメージ。そうしたチームを否定するつもりはないが、選手の将来を見据えると別の指導法があると考えている。その中で、特に大切にするのが「自主性」。指導者がいなくても、1人または数人で技術を向上させるドリルを数多く提案し、選手が練習法やプレーの引き出しを増やすサポートをする。

 例えば、野球の基本となるキャッチボールもバリエーションが多い。回転しながら球を投げたり、走りながら球を捕ったり。グラブを使わないメニューもある。土日の練習は4時間に決めているが、全体練習前に選手がそれぞれ自由に体を動かす時間を1時間設けている。

 石井監督は「何もないところから自主性や新しい発想を養うのは難しいです。選手たちには基本となるドリルをたくさん教えてインプットしてもらってから、自分なりの要素を足して練習する習慣が身に付く指導を心がけています」と説明する。

個のスキル向上でチーム力アップ…勝利と育成の両立目指す

 土日祝日は丸一日練習するチームが少なくない中、4時間に制限しているところにも意図がある。選手には限られた時間を無駄にしない意識が生まれ、練習の集中力も高まる。また、練習が半日で終わるため、残りの時間をどのように過ごすのか選手自身が考える。自宅で自主練習する選手もいれば、家族と過ごす時間や勉強に活用する選手もいる。石井監督は「選手たちに自主性の大切さを伝えているので、自由な時間を与えるようにしています。心や体を休める時間も必要だと思っています」と話す。

 石井監督は高校以降もできるだけ長く野球を続けてほしいと願い、中学部では高校野球の準備も進める。ノックやロングティーなど、一部の練習では硬式球を使う方針を示している。硬式は軟式よりもスピード感がある。速い球を眼で追った方が脳への刺激が大きく、体の反応スピードも速くなる。恐怖心をなくしたり、バットでとらえる感覚を覚えたり、少しずつ硬式に慣れる狙いもある。

 選手の将来を見据えた指導は、試合の勝敗を度外視した育成に特化したチームに見えるかもしれない。だが、石井監督は勝利と育成の両立を掲げている。

「小学部では野球を楽しむことを追求しますが、中学部では結果も求めていきます。ブロッサム中学部の一番のメリットは、選手自身が上達を実感できるところです。個のスキルが向上すれば、チームとしても結果を出せます」

 北区の野球連盟は「東京ナンバーワン」を掲げている。同区で活動する「BLOSSOM BASEBALL CLUB」も例外ではない。「他のチームとは手段が違うだけで、北区の頂点や都で戦えるチームを目指しています。4時間の練習でも勝負できると思っています。監督が目立つのではなく、選手の個の力がナンバーワンと言われるチームをつくります」と石井監督。東京都の中学野球に新風を吹かせる。

(間淳 / Jun Aida)

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