キャッチボール雑な子は「なかなか伸びない」 “大谷効果”絶大も…球速向上に必須の前段階
巨人ジュニア・西村健太朗監督が助言「まず大切にしてほしいのはコントロール」
野球で伸びる子と伸びない子との差は、プロの視点でどこに表れるのだろうか。“逸材小学生”が集う年末の「NPB12球団ジュニアトーナメント」に向けて、巨人ジュニアを率いて5年目となる西村健太朗監督は、投手も野手も行う基礎的な練習を丁寧にできるかが重要だと語る。7月下旬に行われた同ジュニア2次選考会の場で、小学生に大切にしてほしい意識について話を聞いた。
時にはノックバットを振るい、時にはブルペンで投球を観察し、強い日差しが降り注ぐ読売ジャイアンツ球場内を目まぐるしく動いていた西村監督。「特に2次選考は200人くらいの子が参加しますから、一番大変なんです。アカデミーや振興部の皆さんのサポートがなければ成り立ちませんから、本当にありがたいです」。玉のように流れ出る汗を拭いながら感謝を述べた。
普段もジャイアンツアカデミーコーチとして子どもたちを指導する立場の西村監督。「最近の小学生や親御さんは、大谷(翔平)選手を見ている影響か、『どうすれば速い球が投げられますか?』という質問が多いんです」と言う。しかし、その前段階として心がけるべきことがあると語る。
「まず大切にしてほしいのはコントロールです。小学生のうちから、良い投げ方を意識して身に付ければ、中学・高校と体ができてくるにつれて、スピードが上がる子もいるし、コントロールがさらに良くなっていく子もいます」
自身も現役時代は、球速140キロ台中盤と決して速球派ではなかったが、スライダー、フォークなどの多彩な変化球と制球力を武器に、先発から抑えまで務め上げた。その経験も踏まえて、まずは良い形の投球フォームを覚えることが先決であり、そのためにも大切にすべき練習が「キャッチボールです」と語る。
「肩慣らし程度で投げていては上達しません。1球1球、丁寧に、体全体を意識して投げていけば必ず良くなります。プロ野球選手でも、キャッチボールは丁寧にやります。これから野球を続けたい、もっと上手くなりたいならば、そこはしっかりとやっておいた方がいいです」
今年から“最終メンバー”が16人プラス2人に…本戦までは同様の活動
巨人ジュニアの選考は4段階あり、1次選考では「キャッチボール」「打撃」「内・外野守備」「一塁駆け抜け」「ピッチング」「キャッチング・二塁スロー」などを、それぞれ20~30秒程度、計2分程度の動画に収めて提出してもらう。
そして、その選手が伸びる子か、伸びない子かは「キャッチボールで大体わかります」と西村監督。つまり、グラウンドで生で確認する以前に、動画の一部だけで、おおよそ見抜けてしまうということになる。
「投げ方にはそれぞれ個性があるものですが、キャッチボールを雑にやる子は、なかなか伸びない。それは共通だと思いますね」
巨人ジュニアでは、今年から“最終メンバー”を18人と2人増やした。本戦に出場する16人は最終選考で決定だが、プラス2人が“練習生”として参加する形だ。「昨年、ソフトバンクジュニアさんが取り入れていて良い取り組みだなと。トーナメントまでの活動は16人と同様に行動しますし、練習試合にも出場できます」。“狭き門”でも、指揮官のような一流の考え方に直接触れられる子が少しでも増えるのは大きなことだろう。
今年から新任で球団OBの田中大輝、黒田響生の両コーチが加わった。「田中は(西村監督と逆の)左投げですし、黒田は内野手出身。それぞれ、僕とは違った見方ができると思うので、話し合いながら指導していきたいですね」。2014年以来の頂点に向けた活動は、この9月からいよいよ本格化する。
(高橋幸司 / Koji Takahashi)
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