ファーストストライクを「打て」は正解か 分析プロが解説…半分は“間違い”の根拠
元プロ野球スコアラー・三井康浩氏が“奥深い”カウント別球種の待ち方を紹介
巨人や日本代表「侍ジャパン」でチーフスコアラーを務め、現在は学生からプロまで打撃指導を行う三井康浩氏が、中学生を対象にした野球講義を行い、選手たちは熱心にペンを走らせた。“伝説のスコアラー”と呼ばれた分析のプロが、子どもたちの疑問に答えた。なぜ、追い込まれる前に打たないと不利なのか――。
練習メニューの“引き出し”を多く持つことで知られる三井氏は、定期的にスコアラーの観点から、選手たちに座学を行っている。技術を磨くことも大事だが「漠然とプレーをするだけではうまくならない」「考えを持って選手たちに行動をしてほしい」。根拠を持つことの大切さを学んでほしいという思いから、また違った側面で野球の奥深さを伝えている。
座学では『カウント別の打席でのボール待ち方』がメインテーマだった。カウント0-0、1ボール0ストライク、2ボール0ストライク、3ボール0ストライクといった、ファーストストライクから打っていくことがデータとして高打率となること、逆に追い込まれてからの打率は低くなるその根拠などを、数字を用いて説明した。
ただ、やみくもにファーストストライクをスイングしていくのではない。そこにも根拠が必要だ。基本的には振っていってほしいが、「直球を待っているのに、甘いカーブを打ってしまうとかなりの高い確率で凡打になってしまう」と言及。自分が狙って打てると思った球、コースを打ちにいくことが重要で、その他のボールは、ストライクゾーンに来たとしても我慢をする、見極める“耐性”も必要だという。
2ストライクに追い込まれても…考え方を変えれば問題なし
1ストライクを取られた後の考え方も多岐にわたるため、選手たちにはボールカウントごとにプロの考え方を説明した。2ストライクになった後の打率は、データによると大きく下がることが証明されているが、「だからといって、まだアウトになったわけではない」と、そこでどう狙い球を絞っていくかついても解説。例えば、追い込まれても狙った球種は「変えない方がいい」と、その根拠も併せて伝えた。
では、追い込まれてから、狙い球ではない球がストライクゾーンに来た場合はどうするか。ファーストストライクでは打っていくと凡打になると説明している。2ストライクだったら見逃し三振になってしまう。
この場合はファウルで逃れて、並行カウントや打者有利のカウントに持っていくことが重要になる。ボールカウントが増えれば増えるほど、打率は少しずつ上がっていくからだ。よって、「変化球をファウルにする練習もした方がいいです」と、普段から準備をするよう声をかけた。プロの選手でも試合前にファウルを打つ練習をしているのは、それが理由だという。
三井氏は「追い込まれたからといって悲観するのではなく、これが野球の醍醐味であると思ってもらいたいです」と粘り強さ、球際に強い選手になってほしいと願う。座学ではすべてのカウントにおける“三井流”の考え方、待ち方を伝授。指導者からも「その発想はなかったです」と野球を見る視点が変わったという。
プロの選手だけでなく、小・中学生にも野球指導をする三井氏は、分析について「根拠を持って行動をしてほしいですし、状況判断ができる選手になってほしい」。学びたい人はウェルカム。キャリアで培った自身の考えを、1人でも多くの子どもたちや指導者に共有していきたい思いでいる。
■三井康浩氏の公式インスタグラムでも座学の様子を紹介
(https://www.instagram.com/mti_y.n.s.s/?hl=ja)
(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)
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