「ノーコン投手」も激変…投げ方が上達する重要動作 全選手共通で確認したい“一本線”
中学軟式野球日本一の愛知・東山クラブ監督が解説…投打で重視すべき“一直線と角度”
選手の数だけ打撃や投球のフォームがあり、指導の仕方も変わる。全国大会常連の愛知の中学軟式野球チーム「東山クラブ」では、選手の体格や性格などによって育成方法を変えている。ただ、パフォーマンスを向上させるために、全ての選手に身に付けてほしい体の使い方もあるという。藤川豊秀監督に、全選手に共通する「投げ方・打ち方」の重要動作について聞いた。
東山クラブは今夏の全国大会で優勝するなど、愛知県No.1の中学軟式野球クラブという呼び声が高い。38年前にチームを立ち上げた藤川監督は、選手を指導するポイントに「性格、能力、タイプ」の3つを挙げる。
例えば、自尊心が強く頑固な投手には、最初から課題を伝えない。しばらく静観して、悩み始めたタイミングで声をかけ、なぜ思うような結果を出せないのか理由と改善点を指摘する。選手が指導者の話に耳を傾け、納得して初めてアドバイスが生きるからだ。一方、こうも話す。
「指導に関しては、選手の個性が関係ある場所と、関係ない場所があります。実は、どんな選手にも重要になる動きがあるので、そこは共通して教えています」
投手を例にとると、オーバースロー、スリークォーター、サイドスロー、アンダースローと投球フォームが違っても、基本となる形があるという。右投げの場合、左肩、右肩、右肘の高さが一直線にする形を理想とする。サイドスローやアンダースローは右腕を下げるのではなく、藤川監督は体を右側に倒して3点を一直線に保つように指導する。
「投球フォームが違っても、変わっているのは体の角度だけです。一直線の関係が崩れることによって肩や肘に負担がかかって怪我をしたり、コントロールが不安定になったりします。これは野手の送球も一緒です」
低めの球を打つにも体の傾きで対応…飛距離を伸ばすコツ
打ち方も考え方は同じ。投球のコースや高さが変わっても、基本となるスイングの形は変わらない。低めの球を打つ時に腕を下げるのではなく、体の傾きを変えてバットを振ると打球に力が伝わって飛距離が出るという。
東山クラブは現在、愛知県で投手の育成ではNo.1と言われている。ただ、それ以前は打撃の育成に定評があった。チームは選手のスカウトやセレクションをしているわけではない。
藤川監督は「小学校の頃に『ノーコンで使い物にならない』と言われた投手が、うちのチームで開花して甲子園に出場する強豪校に進学するケースは少なくありません」と話す。投球も打撃も、どんな選手にも共通して上手くなるポイントを熟知しているからこそ、選手が着実に成長し、選手が毎年入れ替わっても安定した成績を残している。
(間淳 / Jun Aida)
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