球児の将来を左右する「中学チーム選び」 日本一監督が伝える“失敗しない”判断材料

中学進学時のチーム選びで失敗しない方法とは(写真はイメージ)
中学進学時のチーム選びで失敗しない方法とは(写真はイメージ)

「思ってたのと違う」にならないために…中学野球チームの選び方をアドバイス

 小学生球児を持つ保護者の悩みの1つが、「中学野球チーム」の選び方だという。軟式か硬式か、全国大会を目指せる強豪チームを目指すのか――。5度の全国制覇を成し遂げた中学硬式野球チーム・取手リトルシニア(茨城)の石崎学監督が、中学野球選びのヒントを語ってくれた。

 これまで数多くの小学生を受け入れてきた取手リトルシニアの指針は、「心を育て・技を磨き・体を鍛える」「自主性と積極性を持ち、精神力の強い人間を育成する」こと。全国には多数の中学チームが存在するが、石崎監督は「チームの価値観と親の価値観がかけ離れている場合は、子どもがどれだけ入りたいと言ってもやめておいたほうがいい」と、アドバイスを送る。

 当たり前だが、各チームによって指導方針は異なる。全国を目指し勝利を最優先にするチーム、個々のスキルアップに重点を置くチームなど様々。指導以外にも強豪校へ進学実績のあるチーム、最近では保護者の負担は一切なしを売りにするところもある。

「なぜ野球をやるのかを考える必要はあります。各家庭でいろんな価値観がある。技術だけでなく礼儀も教わりたい。休日に家族の予定を優先して休んでも大丈夫なのか。入ってから『思っていたのとは違う』となれば、子どもが被害者になります。だからこそ保護者もある程度、リサーチする必要があります」

取手リトルシニア・石崎学監督【写真:伊藤賢汰】
取手リトルシニア・石崎学監督【写真:伊藤賢汰】

「子どもに決めてもらいます」は危険…大人が見極めるべき重要点

 チームのホームページに記載されている文言だけを鵜呑みにせず、実際に見学することも大事だという。その際にも練習だけでなく、グラウンドでの立ち振る舞い、挨拶の仕方、移動する時の姿など、プレー以外の面にも注目することを勧めている。その他にも部費はいくらか、父母会があるのか、なども理解しておく必要があるという。

「よくあるのが『子どもに決めてもらいます』と言う親がいます。ですが、それは危険です。友達や先輩がいるからと安易に決めてしまうのがほとんど。高校、大学を見据えている小学生はいません。野球道具は持参なのか、部費以外にお金はかからないのか。全国大会に出場すれば遠征費などもプラスにかかってくる。家庭の経済状況に見合ったチームなのかは、子どもには判断できないはずなので、大人が見極めるべき重要な点になると思います」

 中学生でも野球を続ける理由は人それぞれ。甲子園、プロ野球を目標にする子もいれば、楽しく野球を続けたい子もいる。「子どもがどこを目指しているか。親がある程度の温度感を把握してあげることも大事」と石崎監督。子どもたちがストレスなく、いきいきとプレーできるチームを選んでいきたい。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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