野球と勉強、どうすれば両立できる? 素振りで算数、天井に目標…やる気引き出す“技術”

野球も勉強もモチベーションを上げる方法とは(写真はイメージ)
野球も勉強もモチベーションを上げる方法とは(写真はイメージ)

小学生から中高生まで参考に…元東大監督、甲子園球児、プロ選手の“文武両道”

 野球と勉強の両立は、多くの選手や保護者が直面する課題だろう。鍵となるのは、具体的な目標設定と時間の使い方だ。元東大野球部監督や甲子園球児、プロ選手の実践例に、小学生から中高生まで“文武両道”に導くヒントが隠されている。

・子どものやる気をいかに引き出すか。
・限られた時間をどう使い分けるか。
・野球の成果を学力向上にもつなげる方法とは。

 東大野球部元監督の浜田一志さん(現土佐中・高校校長)は、子どもが成長を実感できる“指標の設定”が重要だと語っている。例えば、塁間走のタイムなど、記録が伸びやすい目標を設定すれば、やる気を引き出せる。野球と勉強を結びつける練習として、小学生にお勧めするのが「九九素振り」。「いんいちが」でトップを作り「いち」で振る動作を九の段まで81回繰り返すものだ。上級生が下級生に教えることで、互いの復習にもなる。勉強も偏差値ではなく“知識の蓄積”を指標にすることが、モチベーション維持に繋がるという。

 慶応、早実でそれぞれ甲子園出場経験を持つ鈴木裕司さん、健介さん兄弟は「メリハリ」の重要性を強調する。中学時代、試験1週間前は野球の練習を一切行わず、5教科で450点以上という高い目標達成のために勉強に集中した。また「中学日本代表に入る」といった具体的な目標を壁や天井に貼り、常に意識していたという。ただし、小・中学生の時期は、親がある程度リードして勉強に取り組む姿勢の土台を作ることが、子どもの主体性を育む上で大切なのではと振り返っている。

 プロ野球を目指しながら医師国家試験に合格した、くふうハヤテ・竹内奎人投手(今季限りで引退)もまた、1つのことに集中し、やり切ってから次へ移るというメリハリを実践していた。練習をしてから勉強をするサイクルを築いたことで効率が上がり、「ダラダラ勉強だけするよりも良い方向に進んだ」という。そのためには「何時まで勉強」といった時間を区切る習慣が大切で、スマートフォンを遠ざけるなど集中できる環境作りも欠かさなかった。こうした計画性は野球にも生かされ、大学時代には指導者がいない中で球速を向上させた経験を持っている。

 浜田さんや鈴木兄弟、竹内投手の事例は、野球と勉強の両立が精神論ではなく、具体的な“技術”であることがわかる。工夫次第で、野球も勉強も諦めない道筋を描き、導いてあげることは可能なはずだ。

・子どもの成長が目に見える個人目標を設定する。
・練習と勉強の時間を明確に分け、集中力を高める。
・達成すべき目標から「逆算」して計画を立てる習慣を築く。

(First-Pitch編集部)

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