道具不要の“5人制野球”は「ミスしてOK」 男女差関係なし…金メダリストもハマる魅力

Baseball5日本選手権に参加したソフトボール元日本代表・渥美万奈【写真:宮脇広久】
Baseball5日本選手権に参加したソフトボール元日本代表・渥美万奈【写真:宮脇広久】

2021年東京五輪金メダリストの渥美万奈が「Baseball5」日本選手権に出場

 2021年東京五輪でソフトボール日本代表を金メダル獲得に導いたレジェンドが、5人制“手打ち野球”「Baseball5」の普及に取り組んでいる。米国との決勝戦に遊撃手として出場し、“神ゲッツー”で味方をピンチから救った渥美万奈選手だ。

 今月17と18の両日、横浜武道館でBaseball5の第3回日本選手権が開催された。渥美を擁するチーム「Spirit Bonds」はオープンの部準決勝で「5STARs」にセットカウント0-2で敗れ、2年連続ベスト4にとどまったが、自身は「競技としてどんどん盛り上がりつつあるのを感じています」と手応えありげにうなずいた。

 Baseball5は、2017年にWBSC(世界野球ソフトボール連盟)が野球・ソフトボール振興策の一環として発表した新スポーツである。打者はゴムボールを自分でトスし、拳や手のひらで打つ。1チーム5人、公式国際大会は男女混合で、男女比は常に3:2か2:3であることが求められる。基本的なルールは野球・ソフトボールと同じで5イニング制となっている。

 塁間は13メートル(野球・ソフトボールは27.431メートル)で、1辺18メートルの比較的小さな正方形のフェアゾーン内でプレーが行われる。ファウル、フェンスオーバー、フェンス直撃の打球がアウトとなるところが野球・ソフトボールと違うところで、“加減”が難しい。守備側はファースト、セカンド、サード、ショート、ミッドフィルダーの5人で守る。バット、グラブを使わず、ボール1個だけで楽しめる競技でもある。

 渥美は東京五輪で、米国とのソフトボール決勝に「9番・遊撃」でスタメン出場。両チーム無得点で迎えた4回には2死一、三塁の好機に内野安打を放ち、先制点をもぎ取った。2点リードの6回の守備では、1死一、二塁で三塁手が弾いた痛烈なライナーをダイレクトキャッチし、間髪入れずジャンピングスローで飛び出していた二塁走者も刺した。“奇跡の併殺”とも“神ゲッツー”とも呼ばれたビッグプレーで日本は窮地を脱し、そのまま2-0で勝利をものにしたのだった。

横浜で開催されたBaseball5日本選手権の様子【写真:宮脇広久】
横浜で開催されたBaseball5日本選手権の様子【写真:宮脇広久】

道具を使わずボール1球で実施される「Baseball5」は「男女で協力し合える」

 同年限りで現役を引退。2024年2月のイベントでBaseball5の存在を知り興味を持ち、日大三高が2011年の夏に全国制覇した時のメンバーである宮之原健選手が立ち上げた「Spirit Bonds」から誘われ参加することになった。

「バット、グラブなどの道具を使わないので、普及しやすいスポーツではないかと思います」。野球の競技人口減少が危惧されている中、渥美はBasball5の“手軽さ”を強調する。「道具を使うと、初めてやる子とちょっと経験している子の間に差ができてしまうのですが、この競技はまだ慣れていない子も、なんとか転がせば塁に出られて楽しめると思います」と“魅力”を語った。

 打撃ではホームランやフェンス直撃の打球がアウトになるだけに、パワーがあれば有利というものではなく、男女間の差もつきにくい。渥美は「男女で協力し合えるスポーツで、女性も活躍できる。今の時代に沿っていると思います」とうなずく。

 一方で、素手による捕球はファンブルしやすく、塁間が短いだけに守備のちょっとしたロスが即、相手の出塁に結びついてしまう難しさがある。ソフトボールで職人的なグラブさばきを誇った渥美は「確かに『グラブなら余裕で捕れるのに……』という打球が抜けていくことがあります。でも、そこが面白いところでもあります」と笑う。

 Baseball5を楽しむ秘訣を、「最終的にはミスの少ないチームが勝つのですが、素手でボールを扱う以上、誰にでもミスが出ると思います。野球やソフトボールでエラーが出ると、チーム全体が嫌な雰囲気になりがちですが、“ミスしても大丈夫”という前提で励まし合えるスポーツだと思います」と説く。

 現在は都内でスポーツイベント、メンタルトレーニングなどに携わる会社を経営しながら、Baseball5に力を注いでいる渥美。自らのプレーで新しいスポーツの魅力を深め、広く伝えていく。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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