OP戦の不振はシーズンに心配無用? 打率1割→シーズンMVPなどパ過去5年で起きた“復活例”
「オープン戦とシーズンの成績は別物」とよく言われるが…
3月15日、2020年におけるオープン戦の全日程が終了した。オープン戦首位打者の座には打率.378を記録した阪神の大山悠輔選手が輝いたが、その一方で満足のいく成績を残せなかった選手たちもまた存在する。この時期の数字は、開幕一軍入りや開幕戦のスタメン争いに向けても重要なものとなってくる。そのため、選手本人のみならず、その選手を応援しているファンにとっても、オープン戦での好不調は気になるものかもしれない。
しかし、オープン戦で不振に陥りながらもシーズンに入ってからは調子を取り戻し、レギュラーとして十分な成績を残した選手たちも過去には多く存在してきた。オープン戦の成績とシーズンに入ってからの活躍は別物と言われることは少なくないが、そのような過去の歴史がその理由の一端となっていることだろう。
今回は、そういった過去の具体例について紹介していきたい。直近の5年間において、オープン戦で規定打席に到達しながら打率.250以下に終わった選手たちの中から、レギュラーシーズンで一定以上の成績を残した面々は以下の通りとなっている。(所属は当時)
○2015年
ブランドン・レアード(日本ハム)
オープン戦:13試合 44打数8安打 2本塁打5打点 打率.182 出塁率.245
年間成績:143試合 498打数115安打 34本塁打97打点 打率.231 出塁率.301
浅村栄斗(西武)
オープン戦:10試合 35打数4安打 1本塁打5打点 打率.114 出塁率.162
年間成績:141試合 537打数145安打 13本塁打81打点 打率.270 出塁率.362
山田哲人(ヤクルト)
オープン戦:11試合 50打数11安打 1本塁打5打点 打率.220 出塁率.245
年間成績:143試合 557打数183安打 38本塁打100打点 打率.329 出塁率.416
獲得タイトル:本塁打王、盗塁王(34盗塁)、最高出塁率、セ・リーグMVP
川端慎吾(ヤクルト)
オープン戦:14試合 48打数11安打 0本塁打2打点 打率.229 出塁率.260
年間成績:143試合 581打数195安打 8本塁打57打点 打率.336 出塁率.383
獲得タイトル:首位打者、最多安打
亀井善行(巨人)
オープン戦:18試合 52打数9安打 0本塁打6打点 打率.173 出塁率.232
年間成績:109試合 382打数104安打 6本塁打35打点 打率.272 出塁率.338
鈴木大地(ロッテ)
オープン戦:15試合 58打数11安打 0本塁打4打点 打率.190 出塁率.242
年間成績:142試合 487打数128安打 6本塁打50打点 打率.263 出塁率.330
田中広輔(広島)
オープン戦:10試合 33打数3安打 0本塁打1打点 打率.091 出塁率.184
年間成績:141試合 543打数149安打 8本塁打45打点 打率.274 出塁率.325
鈴木誠也(広島)
オープン戦:12試合 39打数8安打 1本塁打3打点 打率.205 出塁率.225
年間成績:97試合 211打数58安打 5本塁打25打点 打率.275 出塁率.329
中村晃(ソフトバンク)
オープン戦:17試合 54打数12安打 1本塁打2打点 打率.222 出塁率.333
年間成績:135試合 506打数152安打 1本塁打39打点 打率.300 出塁率.386
柳田悠岐(ソフトバンク)
オープン戦:14試合 49打数12安打 2本塁打8打点 打率.245 出塁率.315
年間成績:138試合 502打数182安打 34本塁打99打点 打率.363 出塁率.469
獲得タイトル:首位打者、最高出塁率、パ・リーグMVP
同年に首位打者と最多安打の2冠に輝いた川端をはじめ、レギュラーシーズンで結果を残した面々の中にも、オープン戦で苦しんでいた選手が多かった。2015年といえば柳田と山田がトリプルスリーの快挙を達成した年だ。しかし、両選手ともにオープン戦では打率.250を下回っており、オープン戦から好調というわけではなかったのが興味深いところだ。
山田は4月終了時点で打率.269と、オープン戦同様に序盤はやや不振だった。だが、5月に入ってから状態を上げていき、5月終了時点では打率.302と本来の打撃を取り戻していた。一方、柳田は開幕の時点ですでに調子を取り戻しており、4月終了時点で打率.350とハイペースで安打を量産。そこから最後まで打率.360前後のハイアベレージを維持し続けた。同じトリプルスリー達成者であっても、その調子の推移は大きく異なっている。