営業マンを経て独立リーグ監督へ 元巨人のドラ1守護神、44歳の現在地
「分類上プロなだけ、レベルはプロじゃない」…独立リーグ指導で生きる恩師の教え
指導者として、最も影響を受けたのは、駒大時代に指導を受けたアマ球界の名将・太田誠氏だった。「太田監督が自分の軸。その教えがあったから、あんな歳まで長く野球ができた」ともいう。叩きこまれたのは、基礎、基本の徹底。挨拶、掃除、試合はもちろん、練習に至るまでの準備……。心・技・体でいえば「技」より「心」を説く言葉が、今も胸にある。
「うわべだけやってもダメだということ。その場しのぎで一時的に良くても、将来はあまり役に立たない。だから、時間をかけて徹底的にやらないといけない。何が大事だという部分でも、基本、基礎が大事なんだなと学ばせてもらった。学生時代には理解して率先してやった、というよりやらされた部分もあった。でも、やらされてでも自分にとってはすごく身になった」
独立リーグには、NPB入りを目指し、原石が集う。そうしたマインドが、野心あふれる若者たちにとっても必要になると考えている。「『自主性』なんて、カッコいい言葉でよく言うけど、なかなか持てない」と述べた上で「同じ目線」での指導の必要性を力説する。
「プロ野球選手になって1軍で活躍するような選手は自主性を持って取り組む。そういう人たちは何が足りなくて、そのためにどうすればいいか分かっている。だけど、愛媛にいるのは、そこまで至ってない選手たちなので、考え方や精神的な部分をきちっと教えてあげないと。一足飛びにプロ野球みたいな指導をするより、僕がアマ時代、特に大学で指導を受けた姿勢、取り組み方をしていかないと、なかなか難しいのかなと思う」
現役時代、愛媛に来た当初フォーム確認の基本となるキャッチボールをおろそかにしている選手が多く目に付き、意識の差に衝撃を受けたという。だから「独立リーグは分類上、プロ野球選手なだけで、レベルとしてはプロ野球選手じゃない。大学や社会人、甲子園に出るような高校生の方がレベルは高い」と割り切り、“アマ選手”として基礎から指導に当たっていく。
「僕は大学こそ駒沢に行って、たくさん勝たせてもらい、ドラフトで指名をもらえたけど、中学までは軟式。高校で初めて硬式をやった。川崎の県立校で全然勝てなかったけど、そういう選手でも、大学に行って花開いて、そういう選手になれた。だから、僕はプロ野球目線であまり接したくないし、その必要もないのかなと感じている」