日本野球科学研究会でシンポジウム 女子野球の未来、課題について提言

「なでしこジャパン」の女子サッカーもかつてマイナースポーツだった

 3人目はジェフユナイテッド市原・千葉レディースマネージャー、日本サッカー協会女子委員、NPO法人ジュース(JWS:スポーツにかかわる女性を支援する会)理事の小林美由紀氏だ。

 小林氏は、かつてマイナースポーツだった女子サッカーが「なでしこジャパン」という愛称を得て、スター選手を輩出する人気スポーツへと成長するまでの過程を紹介した。

 女子サッカーも19世紀末には始まっていたが、1921年にFA(フットボール・アソシエーション)は女性へのグランド貸与を禁止。ここから黒歴史が始まるが、1986年にFIFAが「女子サッカー」の支援を宣言し、発展に尽力した。

 1999年の第3回FIFA女子ワールドカップUSAは、32試合で119万人もの観客を集め、女子サッカーは世界的に人気スポーツとなった。そして、2011年の第6回大会では、日本代表なでしこジャパンがアメリカをPK戦の末に下して世界一となり、日本女子サッカーの人気は沸騰した。

 小林氏は、代表チームの強化、ユース育成、指導者養成を「三位一体」とし、これに「普及」を加えた4本柱で、今後も女子サッカーの発展を目指すとした。

 会場の参加者は大部分が男性。女子野球独特の「文化」を知らない関係者も多かったようだ。野球界は今、古い体質や「勝利至上主義」など、さまざまな問題を抱えている。女子野球の取り組みは、野球界全体の問題解決にも大きな示唆を与えると感じられた。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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