盗塁阻止率より重要? 盗塁抑止力に優れる甲斐拓也と小林誠司の貢献
西武の金子は1球につき13.1%の割合で盗塁を試みる
走者の能力を加味するにはどうすればいいだろうか。さきほど、盗塁可能機会のうち捕手がどれだけ盗塁企図を許したかという例を紹介した。これを裏返し、走者の視点から見ると、どれだけ盗塁を試みたかの割合を走者ごとに知ることができる。例えば金子は昨季、走者一塁時における盗塁可能機会312回のうち41回盗塁を試みた。金子は走者一塁時に盗塁可能機会1球あたり13.1%の割合で盗塁を試みるということになる。
再び捕手視点に戻ろう。捕手から見ると13.1%の割合で盗塁を試みる金子を企図させなかった場合、13.1%の可能性を0%にしたと考えることができる。逆に企図されれば13.1%を100%にしてしまったということだ。これをそれぞれ0.131、-0.869というふうに集計していくと、さきほどのシンプルな手法で問題になっていた走者の力量を含めた上での捕手の盗塁抑止評価が可能になる。
・金子に盗塁企図させなかった場合……13.1%の盗塁企図割合(期待値)を0%にした=+0.131
・金子に盗塁企図させた場合……13.1%の盗塁企図割合(期待値)を100%にした=-0.869
この値を積み重ねることで、平均的な捕手が出場する場合に比べて二塁盗塁をどれだけ抑止したかを測ることができる。最終的な抑止数は走者一塁時だけでなく、すべての走者状況について個別に算出した抑止数を合計している。走者一三塁でも二塁盗塁は発生しうるためだ。