「勝敗がすべてではない」広澤克実理事長に聞くポニーリーグが目指す在り方

「あの金本の打球が甲子園の浜風で押し戻されたのに、今では高校生がホームラン」

――投球数リミットに対する広澤さんのご意見は。

「9回投げたいという子も、もしかするといるかもしれない。ただ、ポニーリーグはどういう理念で活動しているか、子どもたちもよく分かってきて、理解はしている。君たちのためなんだ、という思いは伝わっていると思います」

――反発係数が低い、いわゆる“飛ばないバット”と言われる国際標準バットを取り入れることで、どんな変化を期待していますか。

「僕は(国際標準バットで)打ったことはありませんが、明らかに打球が飛ばないのは、見ればよく分かります。アメリカでもピッチャーにライナーが直撃するなど数々の事故が起こり、その観点から生まれたバット。中学1年生だけど早生まれで13歳になってない子と、中学3年で4月生まれの子になると、とんでもない体力の差があるんです。打球の速さも違う中で一緒にプレーする危険性というのを、私も感じる。

 同時に、先っぽに当たっても、詰まらされても、ボールが飛んでいってしまうバットを使い続けていて、バッターとしての成長はあるのか。ピッチャーはどこに投げても打たれちゃうんで、何をするかというと変化球を投げますよね。プロ野球選手が投げている変化球を真似して。でも、真っ直ぐで打ち取れれば、もっと真っすぐを投げるはず。なので、新しいバットを取り入れたというよりも、従来の芯で打たないと飛ばないバットに戻したというのが、正しい言い方なのかもしれないですね。

 僕が阪神で打撃コーチをしていた時、金本(知憲)がですよ、あの金本の打球が甲子園の浜風で押し戻されたのに、今では右打ちの高校生がライトにホームランを打ってしまう。タイガース歴代の左バッターの打球が、あの浜風に戻されるのに、高校球児がどんどんホームランにしてしまう。でも、プロに入ってくると打てないわけですから」

ポニーリーグは通過点「怪我をさせたり、心に傷をつくるようなことは絶対したくありません」

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