「勝敗がすべてではない」広澤克実理事長に聞くポニーリーグが目指す在り方

ポニーリーグは通過点「怪我をさせたり、心に傷をつくるようなことは絶対したくありません」

――「SUPER PONY ACTION」では、怒声や罵声が伴う指導や応援にイエローカードが与えられます。

「導入を決めた協会の会議に、僕も出席していました。抑止力というか、お父さんやお母さん、監督・コーチも含めて、怒鳴りそうになる前に、一瞬『うっ……!』となればいい。罰則を与えるわけではありません。ここまで何試合、イエローカードを導入してからやりましたが、まだ誰ももらっていません。コロナ禍もあり、応援や指導で大声を出さないこともありますが、今年8月にブロンコの試合をやった時は、皆さん守ってくれていました」

――指導者、コーチはどのようなアプローチで子どもたちと接するべきだとお考えですか。

「野球は青少年を育てるための、非常にいいツールです。道具を大事にする、挨拶をする、感謝する、ということは教えていってほしいですね。野球というスポーツは他のスポーツと違って、打てばすごく目立つし、反対にエラーなどミスをしても、すごく目立つスポーツなんです。だから、いかにチームメートがミスをした時に仲間が肩を叩いてあげられるか、を教えてあげてほしいですね。いいことばかりではないので、他人の痛みを知ることも非常に大事なことなのかなと思います」

――最後に、つい厳しい指導をしてしまう方にアドバイスを。

「大会があると、こんなデカイ身体ですがコソコソとベンチ裏に行って、壁の向こうから指導者の話を聞きにいくんです。でも、今のところポニーリーグには誰一人厳しい指導者はいないですね。もしかしたら、こんなデカイ身体なんで見られちゃっているのかもしれませんが(笑)。

 掛ける声には、声援、アドバイス、確認と、3種類ありますが、大体僕が掛けるのはアドバイスと確認の声ですね。ポニーリーグの理事長という立場もあるので、他のリーグや連盟、まして高校生の指導者に、何かを要求する立場ではありません。ただ、我々はこういう指導をしていますということしかできないですよね。

 我々は、子どもたちを次のステージに送り出す“通過点”だと思っています。ただし、怪我をさせたり、言葉の暴力やハラスメントなどで心に傷をつくるようなことは絶対したくありません。本当にいい中学生活を送り、いいポニーリーガーとして、高校生になってほしい。今、願うのはそのことだけですね。これからも、ポニーリーグに入ってよかったと言われる環境作りを進めていきたいと思います」

(細野能功 / Yoshinori Hosono)

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