練習中に流行曲や「もぐもぐタイム」 女子小学生チームが目指す“野球のイメチェン”

「リズムトレーニング」を行う選手たち【写真:間淳】
「リズムトレーニング」を行う選手たち【写真:間淳】

監督は「リズムトレーニング」の資格を取得、選曲にも狙いがある

 ただ、花村監督は小学生の女子児童が好きそうな曲を何となく選んでいるわけではない。ジャンプしたり、体をひねったりする選手に必ず「リズムに合わせて」と指示を出す。これは、最近様々な競技で取り入れられている「リズムトレーニング」。リズム感を高めることで運動能力を向上させるトレーニングで、花村監督は講習を受けて資格を取った。リズムトレーニング以外でも音楽をかけながら練習するのは「厳しくて重い雰囲気のある野球のイメージを変えたくて。気分が明るくなるかなと思っています」と意図を説明する。

 チーム練習は土日の週2回で、午前8時から4時間。丸一日練習する少年野球チームも多いことを考えると半日は短いかもしれないが、小学生が集中力を維持するのは難しい。そこで、花村監督は「もぐもぐタイム」を取り入れている。打撃練習や守備練習などメニューを終えると吸水を兼ねた休憩を取り、おやつを食べてもいい時間にしている。選手たちは遠足気分でおやつを持参。花村監督が、選手で分けられるようにファミリーパックのおやつを準備する時もある。

「まだバットやグラブを扱うのが難しい中で4時間練習するのは、大人が思っている以上に大変なはずです。このチームをつくった目的は野球が好きな子どもを増やすことなので、練習に来てもらうのが一番大切です」。野球を通じて仲良くなったチームメートとおやつを食べる楽しみがあるから、土日に早起きしてグラウンドに行く。それをきっかけに、野球への興味を抱く子どももいる。

「本気で野球の技術を磨きたいのであれば、女子でも少年野球チームに入る選択肢があります。うちのチームは野球に触れる機会をつくる、野球に関心を持つ女子を増やすのが目的なので、初心者は大歓迎です」と花村監督。もちろん、挨拶や礼儀、野球の基本は選手に指導している。だが、チームを象徴する「明るく楽しく」を何よりも大切にしている。

(間淳 / Jun Aida)

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