野球は「生涯楽しめる」 未経験だった50代女性が“心奪われた”競技の魅力

フューチャーズ・レディースの大石節子さん【写真:間淳】
フューチャーズ・レディースの大石節子さん【写真:間淳】

「野球は自分ができないことをセーブしても楽しめる」

 チームメートには中学生や20代社会人の野球経験者から、自分より年上の野球初心者もいる。大石さんは「体にガタはきています」と笑うが、練習試合ではセーフティバントで一塁まで全力疾走。若い選手に負けない姿を披露する。チームの幅広い年齢構成に「若い子と一緒に野球をしたり話をしたりすると若返りますし、自分より年上の方とプレーしていると野球は生涯楽しめるスポーツだなと感じています。年齢に関係なく、いいプレーが出た時にグラブを合わせたり、声をかけたりするのが特に好きです」と語る。

 野球は「男のスポーツ」、「未経験者にはハードルが高い」との印象が強い。だが、大石さんは女性でも、50代からでも始められると実感している。大石さんは時々、肩に痛みが出るため「投げる」ことをセーブしている。その分、「打つ」「走る」は目いっぱい楽しむ。体力をつけるために会社までの通勤を自転車から徒歩にして、片道1時間歩く時もあるという。

「野球は自分ができないことをセーブしても楽しめるスポーツ。野球を始めてから普段の生活でも自分にできること、できないことを考えて、無理をしないで楽しむようになりました」。

 大石さんは50歳が自身のターニングポイントだったと振り返る。転職と野球。新たに2つのことに挑戦した。ところが、早く仕事に慣れて戦力なりたいという気持ちが強く、オーバーワークになって体調を崩した。「まだ大丈夫と思っていたら帯状疱疹が出てしまいました」。大石さんは一度立ち止まり、野球で学んだ考え方を仕事にも取り入れた。「やりたいことと、ほどほどにすべきことを考えて、自分に合った生活にしようと思いました」。無理はしない。肩の痛みがあって投げるのをセーブしても、打ったり、走ったりできる野球と仕事を重ね合わせた。

 野球は年齢も性別も経験も問わず楽しめる。野球未経験だった50代女性の姿には十分な説得力がある。

(間淳 / Jun Aida)

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