新型コロナが軟式ボールに影響? 老舗メーカーの職人が計算した“賞味期限”に狂い

「ナガセケンコー」の長瀬泰彦会長(左)と技術部長の桜庭常昭さん【写真:間淳】
「ナガセケンコー」の長瀬泰彦会長(左)と技術部長の桜庭常昭さん【写真:間淳】

目指すのは大きさを維持できる軟式球の開発

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大で少年野球チームの活動が自粛となったり、緊急事態宣言で外出が制限されたりしたため、軟式球を使う機会が大幅に減った。窒素ガスの抜け方が予想できず、少年野球の現場からは「ボールが大きい」と声が上がった時期もあった。

 想定外の事態が起きても、ナガセケンコーは決して悲観的になっていない。むしろ、挑戦する機会と前向きに捉えている。桜庭さんは「次に目指すのは窒素ガスで膨らませず、何年経っても大きさが変わらないボールです」と力を込める。

 軟式球を打った時に遠くまで飛ぶのは、2つの要因がある。1つは窒素ガス。もう1つが、ボールの中に使っている黒いゴム。窒素ガスで膨らませずに、黒いゴムを今よりも硬くして、大きさを維持できる軟式球を開発しようとしているという。

「黒いゴムを硬くすると、打った時に割れやすいボールになってしまいますが、長年積み上げたナガセケンコーの技術で、きっと完成させます」と桜庭さん。老舗メーカーの職人たちには、ピンチをチャンスに変える技術と自信がある。

(間淳 / Jun Aida)

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