小学4年で強豪リトルの中軸 自ら練習する習慣作った父の「ノルマなし」指導
遊びから活躍する楽しさへ、「質」をステップアップ
峻さんが指導する上で貫いているのは「楽しむこと」。子どもは楽しみがないと継続するのは難しい。上手くいかなければ、すぐに投げ出してしまう可能性がある。金子くんは小学校低学年まで、練習の一部に柔らかいゴム製のティーボールを使用。バッティング練習ではティースタンドの上に置いたボールを打っていた。投げたボールを打ち返すのは難しいが、止まっているボールであれば、打つ楽しみを感じられる。峻さんは「打つことができる、守ることができるという体験を小さいうちからすることができたのが、今につながっているのではないかと感じています」と振り返る。
学年を重ねると、楽しみの質を変えていく。遊び感覚で野球を楽しむ段階から、うまくなる、試合で活躍する楽しさを求めるようにステップアップ。峻さんは、親子での練習にゲーム性を取り入れた。打撃練習では夫婦が守備に就き、ファーストには一塁手代わりにネットを立てる。金子くんはティースタンドに置いたボールを打ったらファーストまで走り、セーフになったら成功という内容だ。
峻さんが素振りの回数などノルマを課すことはない。練習を楽しみながら課題に気付かせると、自ら考えて自主的に動くようになるという。峻さんは「できなかったら練習に取り組もうという気持ちになります」と語る。課題を克服すると、うまくなる楽しみを知る。こうした成功体験が、自主性を育む好循環を生んでいる。
楽しみがあれば、子どもは自ら練習する。自主性や継続する習慣が身に付かないと悩む保護者にとって、峻さんの指導にはヒントがある。
(川村虎大 / Kodai Kawamura)
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