練習で分かる少年野球日本一のワケ 選手が自ら動いてうまくなる監督の“仕掛け”
2018、19年に全国制覇、多賀少年野球クラブは今年も全国大会出場決定
選手が毎年入れ替わるのに、なぜ全国トップレベルの強さを維持できるのか。楽天・則本昂大投手が所属したことでも知られる、滋賀県の小学生軟式野球チーム「多賀少年野球クラブ」が今年も全国大会出場を決めた。2018、19年に2年連続でチームを日本一に導いた辻正人監督に「現状維持」の言葉はない。練習には進化と工夫が詰まっている。
滋賀県の東部に位置する多賀町。7500人ほどが住むのどかな地域で、多賀少年野球クラブは町の“象徴”となっている。近江鉄道「多賀大社前駅」から車で約5キロ走ると、緑に囲まれた広大な専用グラウンドに到着する。
全体練習は午前9時に始まる。小学5、6年生は1時間前から打ち込みをすることになっているが、開始時間になっても選手は半分ほどしか集まっていない。時間に遅れた選手が慌てる様子もない。打撃マシンを準備する辻正人監督は、笑顔で説明する。
「いつも通りですよ。眠い子もいますし、家から遠い子もいますし、それぞれ事情がありますから。時間を守る大切さを学ぶ場所は学校で、ここに来る目的は野球を楽しむこと。日本人は早めに集合するのが当たり前のようになっていますが、30分前に集合してほしいなら7時30分に集合と伝えればいいだけです」