「立ち方」の改善で野球が上手くなる バランス整え、制球難を解消した例も
制球難の投手がバランスよく立つトレーニングを積んで課題解消
勝亦教授が指導した選手の中に、ストライクを取れずに悩んでいた投手がいた。重心がどこにかかっているのか調べてみると、極端にかかとに寄った状態になっており、片脚でバランス良く立てていなかった。その投手は支持基底面を大きくするために「かかと」「母指球(親指の付け根)」「小指球(小指の付け根)」の3点で立ち、足の指で地面をつかむトレーニングを続けた。さらに、支持基底面の中心に重心がくるように修正するトレーニングや、片足でバランスよく立つトレーニングを重ねて立ち方を改善した結果、制球力が上がった。
立ち方には、それぞれの選手に特徴がある。特徴を利用した投げ方や打ち方をすれば、短期的にパフォーマンスをアップさせる方法はある。ただ、勝亦教授は「選手の伸びしろ増やすことを考えるのであれば、立ち方の改善は必要です。個々の特徴を生かすのも選択肢の1つですが、立ち方を改善する方が長期的には選手が思い描くプレーにつながると思います」と語る。全てのプレーに影響し、動きの原点となるのが「立つ力」。“当たり前”に目を向けると、課題解決につながる。
○勝亦陽一(かつまた・よういち) 1979年5月13日、静岡県富士市出身。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科において博士(スポーツ科学)を取得。早大スポーツ科学学術院、国立スポーツ科学センターを経て、2014年から東京農業大学に勤務。2022年4月から同大学応用生物科学部の教授。子どもからプロまで幅広くトレーニングや技術の指導・支援をし、各年代に必要なトレーニング方法や育成方法を研究する。小学4年生から野球を始め、早大でも野球部に所属。
(間淳 / Jun Aida)
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