大会前に「汗だくの練習は違う」 少年野球の“最強チーム”が掲げる型破りな方針
ファウルボールを無理に追わない指導、ローカル大会は欠場
ダイビングキャッチを禁止する時期を設けたり、外野手にファウルボールを追わないように指導したりもする。仮に難しいと分かっていても、あきらめずに全力プレーする少年野球の常識を覆す方針には理由がある。
「チームがスタートしたばかりの秋には、選手のユニホームは泥だらけになっています。この時期に怪我をしても、全国大会の予選までに治るからです。しかし、ダイビングキャッチで骨折すれば完治まで2か月くらいかかるため、全国大会の予選まで2か月になったら無理なプレーはさせません。大会期間中は怪我をさせないことばかり考えています。どれだけ体力を温存するかが大事なので、捕れないファウルは追わないように伝えています。選手に疲れや普段との違いを少しでも感じたら、すぐに交代させます。そのために、選手を代えてもチーム力が落ちないように育成します」
大会が近づくと練習量を減らすのも、怪我を防ぐためだ。技術を磨く時期は過ぎているという。
「大会前に練習をしても上手くなりません。感覚をつかむ時期です。エンドランやスクイズ、投球や送球のずれを調整します。考えるべきは万全な状態で大会に臨むことで、汗だくなって練習するのは目的が違います」
出場する公式戦を絞っているのも、全国制覇というゴールに到達するベストな選択だと判断しているからだ。継続して強いチームをつくるためにも、全ての大会に出場するのはデメリットがある。