プロ行く選手の「特徴」とは? 社会人日本一監督がオリ福田に見た“ぶれない信念”

チーム方針に疑問を投げかけた福田、周囲を納得させた練習量

 走力も武器としていた福田は、ミーティングでチームの方針に疑問を投げかけたことがあった。盗塁やエンドランでスタートを切った走者は、打者の方に一度目を向け、打球の行方を追うのがチームの共通認識だった。ところが福田は「打者を見ながらの走塁はスピードが落ちてしまいます」と主張。「打者を見ないと、打球がフライやライナーだった時にどうする?」と指摘されると「それは雰囲気で分かります」と返答したという。飯塚氏は福田の意見もライナーによる併殺のリスクも理解し、福田が走者でスタートを切った時は打者がスイングしないルールを設けた。

「福田は1つ1つのプレーに対して発言していました。チームは誰でも遠慮なく発言できる雰囲気でしたし、1人の選手の考え方がチームを強くするきっかけになる場合もあります。福田は最初の頃、周りに『変わった選手』と思われていたかもしれません。でも、ミーティングでの発言、日々の練習量、野球に取り組む姿勢を知るうちに誰もが認める存在になっていきました」

 飯塚氏は、福田や上川畑らプロに進んだ選手の共通点に「絶対にプロに行くという強い意思」を挙げる。自分の体への投資を惜しまないとも感じていた。個人トレーナーと契約したり、食事やサプリにこだわったり、自ら定めた目標を達成するために時間やお金をかけていたという。

 飯塚氏も現役時代はNTT東日本でプレーし、2000年シドニー五輪では日本代表に選ばれている。だが、福田らの姿を見ていると「プロに行く選手と比べて、自分はプロになりたい気持ちがそこまで強くなかったと痛感します。彼らの頑張りを見ていると、プロに行ってほしいという思いが湧き上がってきます」と脱帽する。

 周囲と比べて突出していると「変人」と言われることもある。だが、それは並外れた意思やこだわりに対する“誉め言葉”。トップレベルで勝負する選手にとっては不可欠な要素と言える。

(間淳 / Jun Aida)

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