プロ野球選手の4割が患っている!? 「腰椎分離症」のリスク&対処法を専門家が解説

疲労骨折の段階なら動きながらでも完治、悪化すれば手術が必要

 もう1つのケースが「関節ネズミ」。分離すべり症は起きていないものの、分離した椎弓の欠片が関節内でネズミのように動き回る。椎弓欠片が関節の間に挟まったり、神経を圧迫したりすることで、激痛を引き起こす場合がある。他にも割れた骨が他の骨と擦れてとげのように尖ると、神経を圧迫して坐骨神経痛をもたらすこともある。

 鳥居教授は「分離症を起こした時点では痛みがなくても、しばらくたってから痛みや様々な症状が出る可能性があります。痛みが出たらコルセットを巻いて、練習や試合に参加しながら治療していくのか。それとも、一定期間練習を制限して治療に専念するのか。症状と治療のリスクを知った上で判断する必要があります」と話す。

 腰椎分離症の前段階と言える疲労骨折であれば、コルセットを付けて腰への負荷を軽くすれば、体を動かしながらでも完治する。しかし、分離症まで悪化してしまうと、完全に治すためには手術せざるを得ない。

 疲労骨折の状態でははっきりした痛みや症状に気付かないことが多い。また、普通のレントゲン撮影では発見が難しく、MRI検査が必要になる。腰を前後左右に曲げたり、反らしたりして、張りや違和感が1、2週間続く時は、分離症につながる疲労骨折の可能性がある。MRI検査を受けると、早期発見につながる。鳥居教授は「体の変化に早く気付いて、重症化する前に対応することが大事です」と訴える。

 腰椎分離症は、痛みがなければプレーはできる。だが、いつ痛みが出るか分からない不安を持ちながら日々の練習や試合に臨むのは、プレーへの支障となりかねない。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY