実績の「ある・なし」で変える接し方 教え子にプロ多数、慶大監督の“タイプ別”指導

慶大・堀井哲也監督【写真:上野明洸】
慶大・堀井哲也監督【写真:上野明洸】

実績がない選手は「自信の積み重ねが必要」

 一方、実績がない選手には、練習中でも小さな成功体験や上達の実感をつかめる仕掛けをする。声かけも「今の動きは良かった」というように、1つ1つのプレーを評価する。堀井監督は「実績がない選手は自信の積み重ねが必要だと思うので、上手くできたと実感できる場を練習中からつくっています」と説明する。

 その他のタイプ分けには、「感覚派」と「理論派」がある。理屈よりも感覚で課題を修正するタイプの選手に対し、堀井監督はできるだけ話を聞く。時間と手間はかかるが「今、何をしたいのかというところから紐解いていく」という。典型的な選手としては三菱自動車岡崎で指導した元巨人・谷氏や、JR東日本時代の教え子だった広島・田中広の名前を挙げた。2人は元々、論理的な考え方だが、経験を重ねるうちに感覚で捉えるようになっていったという。堀井監督は「感覚でプレーしている選手は、きっかけをつかむと自然に上手くなっていきます。かける言葉次第で間違った方向に進んでしまうので、指導しすぎないようにします」と話す。

 理論派の選手には、JR東日本で指導したオリックス・石岡を挙げる。理屈で理解する選手は、順序立てて根拠を示すと不調の原因や取り組むべき課題を理解する。堀井監督は「理詰めを好む選手は、ある程度こちらで導くことができます。全てを説明するのではなく、選手に答えを出させる方法もあります。作り上げていくタイプの選手が多いです」と解説する。

 指導者との出会いは、選手のパフォーマンスや将来にも影響する。「最初から選手のタイプは分かりません。普段の会話やプレー、グラウンドで学んでいます」と堀井監督。毎年のように教え子をプロに輩出してきた実績は、最も大切にしている「選手が何を欲しているか考える指導」が間違っていないと証明している。

(間淳 / Jun Aida)

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