「全員レギュラー」になれるチャンスがある 慶大が実践する“ユニーク”な仕組み

「送球」のみを基準に主力と控えの組み分けも 全ての選手にアピールチャンス

 適材適所を見極め、さらに2つ目のキーワードになるチーム内競争につながるのが、グループ分けだ。現在200人近い部員がいる慶大では、主力選手が入る「A」とベンチ入りを目指す「B」、2つのグループがある。A、Bの中でも堀井監督やコーチは、それぞれを3つのグループに分けているため、全部で6つのグループに分けられる。

 公式戦になれば当然メンバーは固定されるが、練習試合や部内の試合では、チャンスは等しく与えられる。どのグループの選手も、年間20打席ほどはアピールする機会がある。

 さらに、誰もがレギュラーになれるチャンスを得られるユニークな仕組みもある。公式戦の期間を終えると、堀井監督が設けたテーマによってグループが分けられる。例えば、今年の春のリーグ戦後のテーマは「送球」。グループを分ける基準は、送球のみ。打撃や走塁の能力は含まれない。普段はBの選手がAに入って、首脳陣にアピールする機会を得らえる。堀井監督は「切り口を変えればチャンスが生まれてチーム内競争になります。誰もがレギュラーになる仕組みが、チームを活性化してチーム力を上げていくと考えています」と意図を説明する。

 実際、堀井監督も慶大の選手だった時、3年生まで公式戦の出場は代打での2試合だけだった。普段の練習や練習試合の打撃で存在感を見せ、4年春のリーグ戦は初めてスタメンで出場し、秋はレギュラーをつかんでいる。チャンスをものにすれば、次のチャンスを与えられ、レギュラーになる可能性があると、自身の経験からも選手に伝えている。

3つ目のキーワードは「目標・熱量」 選手によって指導方法に変化

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY