「肩が硬い」と故障しやすい? 怪我をしやすい選手、しにくい選手の違いを検証

怪我をしやすい選手、しにくい選手の違いを検証(写真はイメージ)【写真:荒川祐史】
怪我をしやすい選手、しにくい選手の違いを検証(写真はイメージ)【写真:荒川祐史】

同じチーム、ポジションで怪我をする選手としない選手がいるのはなぜ?

 肘内側側副靱帯再建術(通称トミー・ジョン手術)の権威である慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、野球上達への“近道”は「怪我をしないこと」と語ります。練習での投球数を入力することで肩や肘の故障リスクが自動的に算出されるアプリ「スポメド」を監修するなど、育成年代の障害予防に力を注ぎ続けてきました。

 では、成長期の選手たちが故障せず、さらに球速や飛距離を上げていくために重要なのはどのようなことでしょうか。この連載では、慶友整形外科病院リハビリテーション科の理学療法士たちが、実際の研究に基づいたデータも交えながら怪我をしない体作りのコツを紹介していきます。今回の担当は井上彰さんと貝沼雄太さん。テーマは「怪我をしやすい選手、しにくい選手の違いについて」です。

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 少年野球選手が感じる肩や肘の痛みの原因は様々。同じチーム、同じポジションでも怪我をする選手としない選手がいます。なぜかよく怪我をする選手もいれば、球数がどんなに多くても故障しない丈夫な選手もいます。このような“謎”に正確に答えることはできませんが、実際に解き明かそうとする研究は存在します。今回はその原因について、選手自身はもちろん、指導者や保護者にもお伝えしたいと思います。

 紹介する研究は、少年野球選手を肩や肘の痛みが生じたことのある選手とない選手に分けて、身長、体重、柔軟性などの身体的な特徴や年間の試合数などに差があるかどうかを検証したものです(※1)。

 対象は84人の少年野球選手。自己申告に基づいて、投球に関連した「肩や肘の痛みがある選手(16人)」と「痛みのない選手(68人)」に分けられています。検討した項目は(1)年齢(2)身長(3)体重(4)肩の柔軟性(5)肩の筋力(6)投球スピード(7)年間の試合出場数(8)ポジションの8つ。痛みがある選手の特徴として(1)身長が高い、(2)体重が重い、(3)肩が硬い、(4)投球スピードが速い、(5)年間の試合出場数が多い、という結果が出ています。

柔軟性を獲得すれば怪我を予防できる 肩の硬さをチェックする方法は?

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