楽しさと強さを両立する“勝利理想主義” 監督が力説する「日本一」より大切なこと

6回に意地の一発を放った多賀少年野球クラブの石田修くん(6年)【写真:編集部】
6回に意地の一発を放った多賀少年野球クラブの石田修くん(6年)【写真:編集部】

全国の舞台で貫いた多賀少年野球クラブの精神

 全国を見渡しても、週末の練習を丸一日実施するチームが多い。それを否定するわけではないが、多賀少年野球クラブの方針は、練習時間は基本半日。辻監督は「(多賀は)決して練習を詰め込んだり、野球だけに時間を奪っているチームではないので、このスタイルでできるだけ多くの成果をあげていきたい」と野球以外の時間を大切にする。

 さらに「正直なところ、もっと練習量(時間)を増やせば、もう少し強くなるかもしれないけど、野球が好きになるかと言われると分かりません。その駆け引きです。もっと野球をしたいと思わせながら、物足りなさを感じさせながら。そのバランスをもっと研究したいですね」と慣習に左右されない指導方針を掲げる。その配分は難しいが、やりがいでもある。

 そんな多賀少年野球クラブの雰囲気の良さは、選手たちからも伝わってくる。敗れはしたが、主将の石田くんは試合後に「練習はいつも楽しくて、毎回練習に行くのが楽しい。(監督は)いつも盛り上げてくれて、マイナスな言葉じゃなくて、プラスの言葉をかけてくれる」と指導者に絶大の信頼を置いていることを明かした。

 負けて悔しいはずがない。だが日本一になれなくても得られることがある。多賀少年野球クラブが掲げるのは、楽しさと強さの両立“勝利理想主義”。滋賀を勝ち抜き、全国大会2回戦に駒を進めた。監督、コーチ、選手たちは思いを一つにし、全国舞台でも多賀の野球を貫いた。

(Full-Count編集部)

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