高校野球で広がり始めたリーグ戦 導入から25年、サッカー界の名将が強調する“意義”

多くの選手が出場機会を得てチーム内競争が活発化する好循環

 選手の出場機会が多いのもリーグ戦の特徴だ。前橋育英高サッカー部は各学年に約50人の部員がいる。負けたら終わりのトーナメントであれば絶対的な試合数が少ないことに加えて、試合に出場するメンバーは固定されやすい。3年間、一度もピッチに立たず引退する可能性もある。

 だが、プレミアリーグに所属する前橋育英高は4月から8か月間、ほぼ毎週試合が組まれている。大半の選手が公式戦に出場する機会を得られる。山田監督は「試合数が多いので、次の試合に向けて平日は高いモチベーションを持って練習できます」と話す。

 チームはトップを頂点に6つのカテゴリーに分けられており、各カテゴリーに指導者がいる。選手たちは試合でアピールする機会が多いため、それぞれのカテゴリーのメンバーは活発に入れ替わる。結果的にチーム内競争が激しくなり、個々のパフォーマンスもチーム力も上がっていく。

 高校野球でも、リーグ戦の動きは広がり始めている。2015年に大阪で「Liga Agresiva」が設立され、今では新潟・日本文理高のように、トーナメントとリーグ戦を並行する甲子園常連校もある。「誰かがきっかけを作って、認める人が出てくると、協力者が増えて動きが加速します」と山田監督。世界で活躍する日本選手が増え、日本がワールドカップなどの国際大会で結果を残せるようになってきたのは、25年前に決断したリーグ戦導入と無関係ではないだろう。

(間淳 / Jun Aida)

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