「自分と同じ思いをさせたくない」 少年野球の監督がこだわる球数管理と複数ポジション

故障後に体の仕組みを勉強、少年野球の指導者で知識を生かす

 高校で野球人生に幕を下ろした石川監督。再びボールを握ったのは30歳の時だった。人数が足りなかった草野球チームに誘われて、試合に出場した。「イップスの感覚を忘れていたので、思ったよりもボールを投げられました」。これが、野球を再開するきっかけとなった。

 石川監督は高校時代に怪我をしてから、ユニホームを脱いでも怪我の原因や体のメカニズムを勉強していた。書店で関連する本を見つければ必ず目を通した。インターネットが普及してからは、様々な専門家の意見を調べたり、動画を見たりして、最新の知識や技術を吸収していた。

 自身は故障によって高校までしか野球ができなかった。あの時、故障を防ぐ知識があれば。悔いはあるが、苦い経験を少年野球の指導者になって生かしている。選手の投げ方を大きく修正することはないが、肩への負担が最も小さいとされる“ゼロポジション”を意識して指導する。特定の選手が肩や肘を酷使しないように球数を管理。複数の選手が投手と捕手をできるチーム作りをしている。チームに所属する小学1年生から6年生まで27人のうち、5人が投手と捕手の両方を守っている。

「投手をやりたがる子どもは多いので、『それなら捕手も練習しよう』と伝えています。投手をやりたくて自主練習する子どももいます。選手にはバッテリー以外にも複数のポジションを経験させていますが、実際に守ると各ポジションの大変さが分かるのもメリットです」

複数ポジション、全選手に出場機会…自身の息子の経験も指導方針に影響

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