ブルペンは10球、遠投はワンバン、シャドーは“禁止” 少年野球日本一チームの育成法

ブルペンは10球程度で遠投はワンバウンド、シャドーは“禁止”

 チームでは、主戦級の投手でも投げ込みをさせることはない。1回のブルペン投球は10球程度。遠投の球数も抑え、必ずワンバウンドで投げさせている。尾崎代表が理由を解説する。

「ブルペン投球は、投球フォームや球の握りを確認するだけです。球数は決めていませんが、セットポジションで5球ほど投げて、あとは感覚を確かめるために何球か投げるくらいです。遠投は多くの球数を投げさせず、低い球でワンバウンドさせるようにしています。高い球を投げようとすると、子どもたちは無理をしてしまうので、怪我のリスクがあります」

 投手にとって練習の王道ともいえるシャドーピッチングも取り入れていない。これも、怪我を予防する目的から。高校で数学の教師をしている尾崎代表は「物理の話になるんですが」と前置きして解説する。

「シャドーピッチングは力が抜ける場所がなくなって、肩や肘に反動で力が戻って来る理論があります。昭和の時代はタオルを持たせてやるのが一般的でしたが、タオルそのものが軽いので、どうしても力が全部伝達しないんです。力が戻ってきてしまい、肩や肘を故障する恐れがあります」

 特定の選手に依存するチーム作りや、非科学的な練習方法や精神論を押し付ける指導方針は子どもたちの将来を潰す。理にかなった考え方で個々の選手の力を伸ばせばチーム力が上がり、勝利と育成の両立につながる。

(間淳 / Jun Aida)

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