1日100人以上も…子どもに電話させるワケ 少年野球で半世紀続く“おばちゃんイズム”

「無償で体を動かすことが大事」自分の時間は保護者や子どものために

 練習のない平日に保護者を自宅に招いて、料理教室や悩み相談をする時もある。自分の自由な時間はないが、「無償で子どものために体を動かすことが大事。それが子どものためになる」と語る。根底には、「近所のおばちゃん」として地域で子どもを育てるべきという信念がある。

 チームを立ち上げて50年が経った。棚原さんが指導した選手の保護者が、子どもが卒部した後でも30人以上スタッフとして残っている。そして、全員がおばちゃんの意思を引き継ぎ、「偉そうにせず、心を育ててくれている」という。息子の徹さんも「おっちゃん兼総監督」として棚原さんを支え、チームをまとめている。

 1200人以上の教え子が棚原さんの誇り。「ヤンチャして『コラーッ!!』って叱っていた子が今では立派になって。仕事して大人になって。50年を振り返るとやってよかったと思いますね」。中には、親子で棚原さんの指導を受けた家庭もある。野球を超えた“おばちゃんイムズ”は半世紀もの間、受け継がれている。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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