片足立ちや片足スクワットできますか? 体の“芯”を強化する「コアトレーニング」
コアの強さを評価する方法は? コアトレーニングとは?
肘内側側副靱帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)の権威である慶友整形外科病院スポーツ医学センター長の古島弘三医師は、野球上達への“近道”は「怪我をしないこと」と語ります。練習での投球数を入力することで肩や肘の故障リスクが自動的に算出されるアプリ「スポメド」を監修するなど、育成年代の障害予防に力を注ぎ続けてきました。
では、成長期の選手たちが故障をせず、さらに球速や飛距離を上げていくために重要なのは、いったいどのようなことなのでしょうか。この連載では、慶友整形外科病院リハビリテーション科の理学療法士たちが、実際の研究に基づいたデータも交えながら怪我をしない体作りのコツを紹介していきます。今回の担当は貝沼雄太さん。テーマは「コアトレーニングとは」です。
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コアトレーニングについては、多くの方が聞いたことがあると思います。しかし、「コア」とはいったい何なのでしょうか? 体幹のインナーマッスルと混同されることもあるので、まずは言葉の整理をしたいと思います。
体幹の筋肉は2層構造になっており、深層をインナーマッスル(またはローカルマッスル)、浅層をアウターマッスル(またはグローバルマッスル)と呼びます。コアは狭義ではインナーマッスルである腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群・横隔膜で構成される部分を指し、広義には体幹そのものを指します。ここでは狭義のコアを扱うこととします。コアは日本語では芯や中核という意味で、コアを通じて上半身や下半身を繋ぐ役割をします。
コアの強さを評価する方法は確立されていませんが、アメリカの有名な整形外科医であるベン・キブラー(Ben Kibler)氏は片足立ちテスト、片足スクワットテスト、3方向コア筋力テストの3つを推奨しています(※1)。それぞれのテストでふらついたり、体幹が傾いたりするとコアが不十分と判定されます。
片足立ちテストが安定してできるようになったら、片足スクワットテストに進みます。片足スクワットも安定してできるようになったら3方向コア筋力テストを行います。3方向コア筋力テストは動作の質とスピードを同時に評価することができます。3方向コア筋力テストはかなり難しいので、できるようになったら相当な安定性と筋力があると言えます。