子どもの未来を潰しかねない“心ない一言” 指導者が発してはいけない言葉とは
辞めなかったサイドスロー、最後まで貫いた理由
中学、高校と進み、その子は投手で野球を続けた。何度かサイドスローを辞めることを指導者に進言されたことがあったが、首を縦に振ることはなかったという。年中夢球さんは「彼は『サイドスローの才能を見つけてくれた小学校の時の指導者のために、最後までサイドで行くんですと言い続けたみたいです。私はそれを思い出すだけで、泣いてしまいそうになります」。
その教え子が迎えた高校3年の夏の公式戦。年中夢球さんは電話をもらった。
「最後になるかもしれないので、見に来てください。僕がここまで来られたのは本間さん(年中夢球さんの本名)のおかげなので」
その試合、彼はKOされ、敗れた。だが、自慢のサイドスローは最後まで貫きとおした。その生き様を年中夢球さんはその子の親と一緒に、目に焼き付けた。
指導者が可能性を信じて、導いた結果だった。
「自分なんかはその子の親じゃないですけど、なんか高校球児の親にさせてもらった気分でいます。本当に一生懸命投げてくれたんでね。大学まで野球を続けて、最後はエースになりました。少年野球の時は一番、泣いていた子。あんなに泣き虫だったのに……」
その子の両親にとっても、年中夢球さんにとっても、高校球児が“孝行球児”になった忘れられない夏となった。
(Full-Count編集部)
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