選手が好き嫌い克服…横浜高の元寮母が試みた“工夫” 成長期に損しない食の意識
管理栄養士の渡邊元美さん 横浜高の寮母時代に選手の好き嫌いで苦労
横浜高校野球部の元寮母で管理栄養士の渡邊元美さんは、野球ママから食事に関する相談を受ける。中でも多いのが、食の細さと好き嫌いについて。寮母をしてきた時に苦手な物も食べられるように工夫を凝らしていた経験なども踏まえ、成長期に食事への意識を高めることが、高校や大学でのパフォーマンス向上につながると訴えている。
野球ママからの相談のうち、8割ほどは「量を食べさせたい」「好き嫌いを直したい」の2つが占める中、渡邊さんは、食が細い子どもには分食を勧めている。一度に食べる量が少なくても、食べる回数を増やして全体として量を満たす考え方だ。そして、好き嫌いの克服には、見せ方が大切になるとアドバイスする。実際、横浜高の寮母時代にそれに苦労し、改善していったという。
「寮は残さず食べないといけないという雰囲気はあるので、自宅より食べようという意識はありました。それでも、嫌いな食べ物を残す選手はいたので、食べやすいように工夫していました」
嫌いな食べ物がある選手には、食べられない理由も聞いた上で考えた。例えば、ナスが苦手な選手はぐちゃぐちゃした食感を嫌うケースが多い。そこでナス料理を出す時は煮込まずに、柔らかくならない調理法を選んだ。「ピーマンは青臭くて苦手」と話す選手には、肉詰めにした後、フライにして食卓に並べた。フライにするとピーマン自体の香りや味を感じにくくなり、ソースをかければ、より食べやすくなる。
「調理の仕方を工夫して、食べられると認識させることが大切です。食材への苦手意識がなくなると、別の料理法でも少しずつ食べられるようになると思います」。さらには食べる量を増やすのも、嫌いな食べ物を克服するのも「選手の意識が大切」と強調する。保護者に強制されるだけでは、長続きしないためだ。