“すぐ次の練習”の米国と反復の日本 両国で経験…トレーナーが求める「いいとこ取り」

「ウエイトトレとスキル練習の架け橋が少ない」 日本の指導に必要なドリル

 一方、日本は決められたメニューに粘り強く取り組む傾向が強い。細かいところまで注意を払うため、1つのメニューで高い効果を得られる。また、同じメニューを繰り返すことにも抵抗が少なく、反復練習で基本を身に付けられる。

 当然、裏を返せば米国は大雑把な面があり、日本はこだわり過ぎてスピード感を欠くケースがある。だが、林さんは繊細さが必要なスキル練習は日本流、ダイナミックな動きが大切になるトレーニングメニューは米国流というように“両取り”が可能だと考えている。

 米国で長年主流になっているウエイトトレーニングは近年、日本の野球界にも浸透している。林さんは日本の選手が今以上にパフォーマンスを伸ばすためには、トレーニングとスキル練習をつなぐ「ドリル」が重要になると強調する。

 日本では元々、少年野球の世代からスキル練習に時間を割く。現在は、高校生年代ではウエイトトレーニングが取り入れられている。この2つを効果的につなぐ役割となるのがドリル。ドリルは基礎体力や運動能力の向上、体幹強化などを目的に、継続して取り組むことで必要な動きが体に染み込む。林さんは日本の指導にドリルを加えると、スキル練習もウエイトトレーニングも生きてくると指摘する。

「今はスキル練習とウエイトトレーニングの架け橋が少ない状態です。この2つをなじませる、つなぐドリルが必要と感じています。フィジカル強化も体を大きくするだけではなく、スピードや柔軟性なども鍛える内容にしていくと良いと考えています」

 米国と日本、どちらか一方が正解ではない。どちらにも正解があり、お互いの良さを組み合わせられれば選手の可能性を最も引き出せる。

〇プロフィール
林泰祐(はやし・たいすけ)1989年9月5日生まれ、福岡県北九州市出身。小学4年生でソフトボールを始め、中学で軟式野球部。戸畑高では硬式野球部、関西大は準硬式野球部に所属した。大学卒業後に米国で4年間、トレーナー活動に従事。これまでに携わったプロ選手は日米で100人を超える。

(間淳 / Jun Aida)

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