新年度から始まる部活動の地域移行、人材と財源は? 中学野球の指導員が示すヒントと課題

東京・三鷹市の中学では順調に地域移行 野球部は7校全てに部活動指導員

 三鷹市の中学校では野球部に限らず、部活動の地域移行が進んでいるという。家城さんが部活動指導員を始めた5年前、その中学校には外部の人材が他にいなかったが、今では部活動指導員が4人、外部コーチは35人に増えている。三鷹市には野球部が7つあり、全てに部活動指導員がいる。家城さんは「いきなり複数の部活動指導員を置こうとするのではなく、まずは1人からやってみる。一歩一歩、できることから少しずつ進めていくことが大事だと思います」と語った。

 部活動の地域移行に対する戸惑いや不安は教育現場でも家庭でも消えていない。しかし、家城さんは「今回、チャレンジしていく制度は間違っていないと思います」と強調する。

「教員と外部の指導者という2人の大人が生徒に関わるメリットを感じています。例えば挨拶ができない生徒に、私の言い方と顧問の先生の言い方は異なります。生徒を指導していく上で、立場が違う大人の言葉は生徒が成長する機会につながります」

 家城さんは校長の依頼を受け、昨年から小学校との交流も始めた。少年野球チームを訪れて練習を見学し、指導者や保護者と情報交換。少年野球の子どもたちに中学校として何ができるのかを考え、中学校のグラウンドを開放して小学生の練習をサポートしたり、6年生の卒業試合を開催したりした。今年4月に中学へ入学する子どもたちが練習参加できるようにも調整し、保護者からは「そこまで中学校が考えてくれるとは思わなかった」と感謝されているという。

 部活動の地域移行は政府が新年度からの3年間を改革推進期間に軌道修正したことからも分かるように、人材と財源の確保は簡単ではない。この3年間は事実上、学校を中心に部活を運営する地域が多くなると予想される。だが、家城さんは「数は少なくても、外部指導員を希望している人は必ずいます。マッチングアプリのような形でも良いですし、アイデアをしぼり出して人材を確保する方法を考えてほしいです」と訴える。

 いわき市と三鷹市で地域の違いはあるが、参考にできる部分はある。三鷹市の例が示すように、これまでの形を大きく変えるには時間が必要で、行動力や忍耐力も求められる。

(First-Pitch編集部)

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